参院選 争点解説④ 「税制・税務行政」 富裕層に課税して基礎控除引き上げ|全国商工新聞

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 昨年の衆院選でも争点の一つとなった「所得1億円の壁」の解消(図2)。「手取りを増やす」を掲げた国民民主党が議席を増やし、今年度の税制改正で基礎控除の引き上げが行われましたが、「1億円の壁」の大本にある、富裕層が株や土地取引などで得た所得への税率は一律20%(所得税15%、住民税5%)に据え置かれ、不十分なものに終わりました。
 憲法に基づく生活費非課税を実現する基礎控除の大幅引き上げが必要です。その財源は、所得税の最高税率引き上げと累進課税の強化、金融や不動産の所得を総合課税に切り替えることで、生み出せます。
 自公政権が財界、大企業の要求に従い法人税の法定税率を引き下げてきた結果、大企業の実質負担率は中小、中堅企業の半分ほどです(図3)。研究開発減税や受取配当益金不算入など、大企業優遇税制を廃止し、法人税にも累進税率を導入することで、大企業に能力に応じた負担を求めることは、550兆円に迫る内部留保を労働者の賃金へと還元させ、国内総生産(GDP)の半分以上を占める個人消費を喚起し、日本経済を回復させる道です。
 確定申告書控えへの収受日付印の押印廃止やスマホ申告の推奨など〝税務行政のデジタル化”を入り口に、納税者を個々バラバラにし、人権を脅かす税務調査や徴収が横行しています。マイナンバー(個人番号)制度の拡大で、申告納税制度の形骸化も狙われています。納税者を税務署に呼び出し、税務調査に移行するなど、納税者の権利をないがしろにする動きも強まっています。
 2025年度税制改正法の付帯決議には「納税者の権利憲章の策定」の検討が盛り込まれました。参院選では、諸外国では当然に認められている納税者の権利を明文化させる公約を掲げる政党を伸ばしましょう。

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