「仕入れ原価が高くなり、現状の価格では利益が出なくなっている」(北海道・飲食)、「資材高騰、人件費アップ、運送費の拡大など日ごとに厳しくなっており、倒産する工務店が多い」(千葉・建築設計)―。全商連付属・中小商工業研究所の「2025年上期(3月)営業動向調査」の「ひとこと欄」には、中小業者の切実な声が寄せられています。多くの中小業者が、物価や労務費の上昇分を、十分に価格転嫁できず、利益率を悪化させています(図1)。
物価高から中小業者の営業を守るため、以下の3点を緊急に実施すべきです。①減収や税金滞納の有無によらず、物価高騰の影響を受ける全ての中小業者を対象にした直接支援制度を政府の責任で創設する②「改正下請法」なども生かし、親会社との価格協議を促し、適正な価格転嫁を後押しする③雇用の7割を支える中小企業で、物価上昇に見合う賃上げを実現するために、岩手、群馬、茨城、奈良、徳島の各県が実施しているように、直接支援や補助を行う―ことが求められます。
北関東で自動車関連部品を製造する下請け業者の民商会員は「トランプ関税」の影響で親会社の方針が二転三転し、受注量が乱高下して苦慮しています。政府は、米国の身勝手な「トランプ関税」の撤回を毅然と求め、中小業者を守る緊急の経済対策を打つべきです。当面は①既往債務の凍結と無利子・無担保・長期据え置き融資②家賃やリース料などの固定費補助③下請け事業者に対する単価切り下げや発注打ち切りを防ぐ対策④地方創生臨時交付金の増額による自治体の独自策への後押し―などが求められます。
