参院選 争点解説② 「コメ問題」 減産政策を転換し 国の責任で供給を|全国商工新聞

全国商工新聞

 コメの品不足と価格高騰が、国民を苦しめています。昨年夏前まで、5キロ・2千円ほどだった価格は、倍の4千円以上に。政府は3月以降、備蓄米60万㌧を放出しましたが、事態の根本解決には、ほど遠い状況です。
 こうした事態を招いた大元に、自民党政府による二つの失政があります。
 一つは、1970年代以降の減反政策です。政府は、コメ消費量が毎年減ることを前提に、農家に転作を迫り、2018年には所得補償を打ち切り、1500億円以上の所得を奪いました。この結果、コメ農家は2000年以降、175万戸から53万戸へと3分の1に減少。作付面積も、収穫量も減り続けました(図)。
 もう一つは、流通に対する国の責任を放棄したことです。日本では戦中戦後、「食糧管理法」(食管法)によってコメの流通を厳しく管理し、価格も政府が決めていました。1995年にWTO(世界貿易機関)協定を受け入れ、食管法を廃止し、コメの全量管理をやめ「ヤミ米」「縁故米」を合法化しました。2004年には計画流通制度を廃止し、市場任せの完全自由流通としたことが、コメの流通量も、価格も政府が掌握できない今の事態を招きました。
 コメは日本人の主食であり、政府には安定供給の責任があります。直面するコメ不足と価格高騰を打開するには①コメ農家への所得補償制度を復活し、減反・減産から増産に転換する②流通管理に政府が責任を持ち、安定供給を図る―農政への転換が欠かせません。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから