2025年は、消費税のインボイス(適格請求書)制度が強行されて2回目の確定申告となります。今年は、「2割特例」を利用して、昨年初めて消費税申告した方の納税税額が大幅に増加(4倍化)します。また、消費税に係る事務手続きの増加の負担に苦しんでいる方も多いでしょう。
事業者の負担は増える一方です。消費税制自体が経済格差を拡大させる不公平極まりない税制です。インボイスを正当化してしまえば、格差是正は実質的に闇に葬られてしまいます。まずは消費税率の引き下げと税率の一本化を強く求めていかなければ、小規模事業者の経営は立ち行かなくなります。
インボイスを登録したのに税務申告を忘れていたという話をよく聞きます。「無申告」の状況にあっても、税務署が接触してくるのは数年先かもしれません。インボイスによる経営への悪影響は、これから広がりそうです。大きな危機感を持ちましょう。
昨年の総選挙で、自民・公明が少数与党となったことで、所得税の基礎控除引き上げをはじめとする税制「改正」案が議論されています。
ところが、改正案を見ると国民に寄り添った内容ではありません。まず、基礎控除の増額ですが、所得税についてのみ適用され、住民税の基礎控除額は据え置かれます。一方、社会保険料の、いわゆる「106万円の壁」が撤廃されることで、社会保険料負担が生じる方が増えることになります。これでは家計における手取りが増えることにはなりません。
次いで、所得税の減税案を見ると、事業者に対する減税は「基礎控除の増額」だけであり、報道で示されている金額より限定的な扱いとなりそうです。昨今の物価上昇を考えると、個人事業主は減税効果を実感できそうにありません。
政府与党は、ひた隠しにしていますが、所得税の減税を進めると、財源問題を必ず持ち出し、違う税目での増税を画策します。この画策には「消費税増税」も検討されています。小さな減税に惑わされることなく、生活を脅かす消費税の減税こそ強く求めていかなければ、可処分所得の増加は得られないでしょう。
確定申告の話になりますが、相変わらず、収支内訳書の取引先欄に、インボイス登録事業者登録番号を記載する欄が設けられています。
しかし、所得税の申告書に消費税にしか使わないインボイス番号を書く理由はありません。書かなくても、何らの不利益はありません。皆さん自身の個人番号(マイナンバー)もそうですが、記載しなくても有効な申告書となります。税務署が、申告書控えなどへの収受印の押なつをやめたにもかかわらず、納税者に負担ばかり押し付けようとする税務行政の在り方は、国民主権を忘れているかのように映ります。
昨今の為政者は、国民を分断し、孤立化させることに重きを置いています(図)。孤立化のツールとして利用されている電子申告などに安易に頼らず、適正な申告納税制度実現のために、納税者が集結し、憲法に基づく税務行政を求め、課税庁を監視していくことが、ますます重要となっています。

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