全国商工新聞

 民商・全商連は創立以来、仲間増やしの活動を重視してきました。商工新聞読者や会員の拡大は、「個人の尊厳を守り、中小業者の役割を正当に評価する社会への展望」(全商連第54回定期総会方針)を切り開くもの。しかし近年、会勢は減少傾向にありました。一方、2020年春以降、コロナ支援策に関する相談活動が活発になる中、20年4月~21年3月の1年間で全国の民商会員は25年ぶりの年間増勢(2770人増)になりました。

コロナで3倍の相談者 “入会の輪”各地で広げ

20年度に大きく会勢を伸ばした兵庫・尼崎民商事務所に集まる役員・会員には笑顔が絶えません。左端が会長の宮下昭男さん
京都・中京民商の「オンライン飲み会」の様子

 8月末現在、全国の商工新聞読者は約20万2千人、民商会員は約16万1千人。会員の対象業者比率は5・22%です。対象業者比で会員が1割、2割を超える民商も少なくありません。地域に根差し、地元の業者やコミュニティーから頼られる組織として、とりわけコロナ禍の中で存在感を増しています。
 兵庫・尼崎民商は、21年3月までの1年間で読者を1割(132人)、会員を2割(218人)増やしました。時短協力金やコロナ支援制度の相談会には、飲食店主など多くの業者が連日来訪。「3カ月前の協力金が、まだ入金されへん」「ほんまにお金が入るんか?」「カラオケ禁止だと商売にならん」などの切実な声が寄せられました。30~40代の飲食店経営者も少なくありません。
 民商副会長で拡大推進委員長の木南幸一郎さん=鮮魚=は「70人くらいの入会者に、何らかの形で関わった」とのこと。「会員の業者比率を今の12%から、20%、30%に増やし、民商を“物が言える力を持つ組織”にしたい」と語りました。
 相談活動は、民商にとって「運動の要」「生命線」です。20年度に相談で民商に足を運んだ人の数は、会内・会外合わせて21万人余り。19年度の7万9千人と比較して2・7倍になりました。相談に応じる役員・事務局員らの献身的な姿は民商に対する信頼を高め、相談を通じて入会した人が次の相談者を連れてきて入会する“入会の輪”が各地で広がりました。
 兵庫・垂水民商では20年7月、営業自粛による顧客減などで悩んでいたネイルサロン経営の女性が誘い合って相次いで入会しました。同時に入会した2人は「民商は建設業の人しか入れないと思っていた。来てみたら、とても親身になってくれ、これからも知恵をお借りしたい」と笑顔を見せました。
 コロナ禍は、「集まって話し合う」をモットーにする民商・全商連の活動に深刻な影響を及ぼしています。20年5月に予定されていた全商連第54回定期総会・全商連共済会第26回定期総会は、感染防止のため、急きょ延期に。それぞれ11月15日と同23日、全国をオンラインでつなぐ初めてのウェブ形式で開催されました。各地の民商総会なども、軒並み延期、オンライン開催、文書開催などの措置が取られました。
 収束の行方がなかなか見えない感染拡大。その中でも、オンライン交流・会議などを通じ、「直接会えなくても、集まって話し合おう」と、新しい経験が生まれています。
 茨城県連では、感染拡大が深刻化した20年春、当初は「3密」を避けるために三役会や常任理事会の開催を延期していましたが、通信環境の構築を援助するなどの工夫で、オンライン会議を実現しました。「顔が見えない」という不安はありましたが、「会議室でやるより、かえって声はよく聞こえるね」という声も上がりました。
 京都・中京民商では、それぞれが会員経営の飲食店からテイクアウト商品を取り寄せ、「オンライン飲み会」を開いて交流。新しい絆の形を模索しています。
 とはいえ、民商にとって班・支部活動は、商売繁盛に向けた勇気を培い、団結を強める要。直接会う機会も大切です。
 各地の民商では、まず一人一人の会員の要望や悩みに耳を傾けようと、全会員訪問やアンケートなどの活動に踏み出しています。さらに、感染予防に万全の注意を払いながら、新会員歓迎学習会やレクリエーションなど、「できることから始めよう」と、知恵を出し合っています。


 >> 民商・全商連のこの10年(10)婦人部・青年部の活動

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