全国商工新聞

 1732万世帯、2659万人が加入する国民健康保険(国保)制度(2020年3月)。この10年で非正規労働者と無職者が8割近くを占めるようになり、医療保険の中で加入者の所得が一番低いのに負担が最も重い「国保の構造的問題」の解決が焦点に。17年度から毎年約3400億円の公費が投入される一方、国保料・税の引き上げにつながる統一保険料導入や一般会計からの繰り入れ解消が狙われ、せめぎ合いが続いています。各地の民商・全商連は国保制度改善を求め、国保料・税の引き下げ、コロナ禍での事業主への傷病手当などを勝ち取ってきました。

署名集め引き下げ実現 傷病手当の拡大も次々

北海道・旭川民商では4カ月で1万7497人分の署名を集め、2011年4月から国保料引き下げを実現しました

 11年4月の一斉地方選挙。大きな争点の一つが高過ぎる国保料・税でした。年間所得200万円(3人家族)の国保料・税は、札幌市38万7700円、福岡市38万1900円などと所得の2割近くを占め、滞納世帯は436万世帯と加入者の2割超に。国保料・税の引き下げを求める声が全国に広がりました。
 北海道旭川市でも年間所得200万円(3人家族)で44万円6千円と所得の2割超を占め、道内で最も高い保険料でした。旭川民商は、国保料引き下げ署名に取り組み、4カ月で加入者の3割近い1万7497人分を積み上げ、12年度の国保料は1世帯当たり1万円以上の引き下げに。前年度の同2万円に続き、2年連続の引き下げでした。
 当時、運動の先頭に立っていた元常任理事の五井善宣さんの証言です。
 「払いたくても払えない国保料だった。共産党市議団の追及で08年、09年の2年間で国保会計は14億円の黒字。10年度も4億円の黒字が見込まれ、引き下げの財源があると判明。何としても引き下げようと、署名目標を当初の1万人から倍にした。署名用紙を常に持ち歩き、要求と運動がかみ合うことを実感した」
 14年にも国保料を引き下げさせ、旭川市では4年間で同7万6千円の引き下げを実現しました。
 各地の民商も自治体を動かし、国保料・税を引き下げさせました(下の表)。

 一方、国は13年から国保料・税の計算方式を「旧ただし書き方式」に全国で統一。総所得から基礎控除33万円しか引けないため、変更した自治体では国保料・税が跳ね上がりました。18年には国保の都道府県単位化を実施し、今年の「骨太の方針」でも、一般会計からの法定外繰り入れの早期解消などを狙っています。
 全商連は19年2月、「国保料(税)の引き下げと制度改善を」を提言。協会けんぽの保険料(本人負担)の1・3倍に上る国保料・税の最大の要因が、84年に45%を占めた国庫負担率を30%まで引き下げたことにあると指摘。国や自治体が強権的な徴収を進め、滞納者から保険証を取り上げ、「受療権」を奪っていると厳しく批判しました。
 全国知事会や市長会など地方6団体も「国費1兆円の投入で国保料・税の引き下げや子どもの均等割軽減」を求め、市区町村でも国庫負担増額を求める意見書採択が広がっています。
 生まれたばかりの赤ちゃんにも負担を強いる国保の「均等割」が子育て世代の家計を圧迫。均等割の軽減は加入者だけでなく、子育て推進を掲げる自治体にとっても切実な課題です。
 「母親たちに自分と同じ、つらい思いをさせたくない」と「18歳までの子どもの均等割をなくす署名」に取り組んでいるのは、千葉・佐倉成田民商の櫻井まゆみさん=ハウスクリーニング。1人で子ども2人を懸命に育てていた頃、国保税を払えず、差し押さえられた経験が奮い立たせました。「国は未就学児までの均等割の50%を財政支援するというが不十分。18歳までの均等割がなくなるまで署名を集める」と奮闘しています。
 コロナ危機で、各地の民商は、おおむね3割以上の減収(見込み可)を対象にしたコロナ特例減免を活用し、国保料・税負担を軽減。新型コロナに感染した事業主に傷病手当が支給されないことが、加入する医療保険制度の違いによって差別をもたらし、感染防止策としても逆行することなどを訴え、15自治体が事業主にも傷病手当を拡大しています(5日時点)。


 >> 民商・全商連のこの10年(6)核兵器禁止へ大きく前進

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