私たちは申告納税制度によって、所得金額や納税額を自ら決定することができます。“余計な税金を払いたくない”というのは、小規模な個人事業主から大企業まで同じです。今回は、納税額を少しでも減らすための節税(工夫)について事業所得の経費を例にして解説します。
売り上げについては、商品を引き渡したら、売り上げ計上するというのは明確ですから、皆さんが興味があるのは、「どのような支出が事業経費になるのか」ではないでしょうか。
家事費(事業と関係のない生活費等の支出)は、経費にならないことは、ご存じかと思います(本連載の7回目で詳しく解説します)。
つまり、経費になるものは①家事費ではなく②事業に関連する支出であるもの―ということになります。
例えば、タブレット代や携帯電話代、自宅や駐車場の一部を事業用に使っている場合や、インターネットネット環境に関わる費用なども、事業に使っていれば、経費になります。
一般的な経費(交通費や交際費など)というものもありますが、皆さんの事業内容によっては特殊な経費もあるでしょう。
「支出した経費が事業に利用されたことを納税者が証明しなければならない」という解説も流布されていますが、これは明確に誤りです。
皆さんが確定申告で経費としたものを税務署が認めないためには、「事業に関係がない」ことを税務署側が証明しなければなりません。この点は税理士であっても誤解している場合がありますが、『当初申告の立証責任は税務署側にある』ということは必ず知っておかなければなりません。
特に勘違いの目立つものとして、所得税と消費税で求められている資料の違いがあります。
例えば、消費税法上では一般課税で計算する場合には、仕入税額控除をするために請求書等の保存を求められていますが、所得税法上では、請求書等の保存は求められていません。領収書が無いと経費にならないということはありません。
帳簿が「無い」という場合の罰則は、青色申告承認の取り消しですから、経費を否認することではないという点も再確認しましょう。
最後に、漏れてしまうことが多い経費について紹介します。「打ち合わせの時の食事代を割り勘したため、領収書が無い」「自動販売機で買った飲料水代」「ICカードで支払った交通費」などが、よく漏れているようです。現金で支払った支出で領収書が出ない場合には、ノートや手帳に記録しておくと良いでしょう。
領収書やレシートを紛失したり、文字が消えてしまった場合でも、支出した事実は存在していますので、この場合も支出内容をノートなどに記録しておけば、経費として計上して差し支えないでしょう。

>> 確定申告のワンポイントアドバイス① 早めに準備を始めよう
>> 確定申告のワンポイントアドバイス② 消費税申告の注意点

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