高市自維政権の総合経済対策 家計を温め、業者に直接支援を|全国商工新聞

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 「この物価高を何とかしてほしい」―。中小業者や国民が切実に願う中、高市自維政権は11月21日、総合経済対策を閣議決定しました。高市首相は「強い経済」を実現するためと、総額を21兆3千億円に膨らませています。しかし、物価高対策の本命であり、参院選の民意である消費税減税は盛り込まず、賃上げの具体策も示しません。地域経済の担い手である中小業者への直接支援はなく、経済の本格回復は望めません。
 経済対策は①生活の安全保障・物価高対策に11兆7千億円②危機管理投資・成長投資による強い経済の実現に7兆2千億円③防衛力と外交力の強化に1兆7千億円―の3本柱です。大企業への支援策が中心で、原発再稼働まで盛り込み、軍事産業を経済戦略の重点に位置付け、高市政権の危険性を自ら示しました。所得税の基礎控除の物価に連動した引き上げなど、国民民主党の求めに応じ、同党の取り込みに躍起になっています。
 中小業者への物価高対策は、重点支援地方交付金2兆円で対応するとし、地方自治体に丸投げしました。「賃上げ倒産」に脅える中小業者が切望する賃上げ支援や社会保険料の事業主負担軽減には背を向けています。
 物価高の原因は、金利を低く抑え続けたアベノミクスによる円安が輸入価格の上昇を招いたことです。財界と米国言いなりに食料自給率38%、エネルギー自給率12%など輸入依存を続けてきた自民党の高市首相に、物価高を本気で脱却する意思はありません。
 国民向け物価高対策も、お粗末です。重点支援地方交付金に含まれる、お米券・電子クーポンの4千億円は1人当たり3千円程度。子育て応援給付4千億円は、18歳以下の子ども1人に2万円を1回きりで、単身者や子どもがいない低所得者には恩恵がありません。電気・ガス料金補助5千億円は来年1~3月までの期間限定で、一般家庭で約7千円の軽減にとどまります。
 各自治体が今後、具体化する重点支援地方交付金を活用した業者支援策が実態に見合うよう、自治体要請での提案が急務です。消費税減税とインボイス廃止、中小業者を直接支援する経済対策へ、国政の抜本転換が必要です。

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