全商連婦人部協議会(全婦協)はこのほど、「2025年全国業者婦人の実態調査」(回答数7882人分)をまとめました。3年ごとに実施しており、17回目となる今回は、長引く物価高騰と消費低迷、消費税のインボイス(適格請求書)制度導入、ポストコロナ期の影響が色濃く表れる結果に。売り上げ・利益などの決算状況や経費の動向、働き方や健康の実態から、税金や社会保険料の負担増が業者婦人の商売や暮らしへ一層深刻な影響を及ぼしていることが明らかになりました。実態調査のポイントを3回にわたり連載します。
物価高・円安で儲けが出にくく
売り上げ状況は、前回調査(22年)と比較すると「横ばい」が42・1%と最も多く、「3割減」や「半減以下」といった明確な減少の回答が、全体の約4分の1を占め、売り上げ悪化の状況が見えます。
仕入れ・経費の変化については「非常に上がった」が19・8%から33・6%へと13・8ポイント増加。全体の6割以上がコスト増となっています。業種別では、料理飲食、製造販売、宿泊、建設関連への影響が際立ちます。円安・物価高騰の影響に加え、物流・エネルギーコスト、人件費の上昇など全体的なコスト増に、消費低迷による売り上げ減退という多重の困難が中小業者にのしかかっています。
営業所得は「100万円未満」が21・8%と最も多く、200万円未満の層が全体の4割を占めています。利益状況を問う設問では「利益が出ている」は19・6%にとどまり、「赤字」32・1%と「収支トントン」38・5%を合わもうせると7割超が「儲けが出にくい」状況に置かれていることが分かります。
経営上で困っていることを尋ねた設問では「物価高騰」が65%で突出しており、「税金・公的保険料の納付」40・3%、「仕事・顧客の減少」38・4%が続きます。物価高騰の影響そのものを尋ねた設問では「影響はない」と回答したのは5・7%に過ぎず、物価高騰がほぼ全ての業者婦人にとって経営上のリスクとして認識されていることが分かります。

インボイス対応大きなコストに

消費税の「課税業者」は、全体で74 ・1%となっており、前回調査の56・6%から大きく増えています。個人の白色の「課税業者」は59・1%と、前回の35・1%より24・0ポイントも増加。インボイス制度導入を機に「課税業者」になった事業者がいかに多いかを示しています。
インボイス発行事業者になったことによる影響では約4割が「実務負担増」、3割近くが「納税不安」を訴えています。インボイス未登録での取引の変化として「未登録を理由に値引き」「取引排除」されたという回答もありました。
「消費税の減税」や「インボイス制度の廃止」は、国民・中小業者の切実な願いです。とりわけインボイス制度は、事務負担の増大や取引排除のリスクがあり、小規模事業者にとっては制度への対応そのものが大きなコストとなっています。
商売と暮らしの「負担の軽減」を
事業継続への支援策として望むことでは「消費税の減税」が67・3%で最も多く、「ガソリン代・水光熱費引き下げ」56・8%、「国保・社保の軽減」52・3%、「インボイス制度の廃止」49・1%、「物価高騰への自治体による支援」35・6%、「家賃や機械リースなどの固定費補助」15・6%が続いています。業者婦人が求める支援は、事業と生活の双方に関わる「負担の軽減」が中心であることが分かります。
「経営と暮らし」分野の分析に当たった、武庫川女子大学の山下紗矢佳准教授は「業者婦人が、税制や社会保険制度の見直し、物価高騰に対する支援策を望んでいることは、個別企業の努力や経営改善だけでは解決し難い構造的な負担が、業者婦人の生活と経営を圧迫していることの表れ」と指摘しています。そして「業者婦人を地域経済と生活インフラを支える主体として位置付け、その経営と暮らしを一体的に支える政策枠組み」も急務だと言います。
全国業者婦人の実態調査
業者婦人の営業と暮らし、健康の実態と政策課題を明らかにすることを目的に、1974年の全婦協創立以来、3年ごとに取り組んでいます。今回の調査期間は、2025年5~7月。各地の民商婦人部が全部員との対話をめざし、訪問や小集会などで部員と入部対象者らがアンケート用紙に記入。回答者の家業での立場は「家族従業者」が52 ・3%で、「事業主」30 ・5%を上回りました。業種別では「建設関連」が31 ・4%で最多。以下「料理飲食」13 ・2%、「生活関連サービス」11 ・1%、「製造・販売」10 ・2%。従業者規模は5人以下が90%を占め、申告形態は「個人の白色」43 ・4%、「法人」27 ・7%、「個人の青色」25 ・9%でした。
寄せられた「ひとこと」から
◎…物価は上がるのに、仕事の単価は一向に上がりません。必死で仕事をして、子育てして、なんとか生活できている状況で、老後のことなど考えられません。働いた分だけでもきちんと手元に残るように、税の取り方、使い方を考えてほしいです。(京都・生活関連サービス・40代)
◎…物価と人件費高騰で、仕事はあっても赤字になってしまいます。急激な最低賃金引き上げが困るので考えてほしいです。(徳島・下請け・加工・40代)
◎…免税業者で、従来は直接支払いだったが、間に下請け業者が入り、孫請けにされた。インボイスの登録がないため、間に入った業者に消費税の支払いが押しつけられていて心苦しい。(北海道・その他・50代)
◎…インボイス発行事業者になり、2割特例が終わった後に、消費税を払っていけるかどうか不安です。インボイス制度の廃止を強く願います。(奈良・その他・60代)

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