”8月1日以降、多くの自治体で国民健康保険証が有効期限切れにより失効するが、患者が気付かずに持参した場合、患者に10割の負担を求めるのではなく、被保険者番号等により資格情報を照合するなどした上で、3割等の一定の負担割合を求める運用は、暫定的に差し支えない”―。厚労省が、こんな事務連絡を都道府県に発出。来年3月末まで、有効期限切れの健康保険証でも事実上、保険診療を受けられるとの指針を示しました。
事務連絡は6月27日付の「健康保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱いに関する疑義解釈資料の送付について」。別添えの「健康保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱い」との文書で「問多数の自治体で国民健康保険の健康保険証が有効期限切れにより順次失効するが、
・有効期限が切れた健康保険証を引き続き持参してしまう患者や
・健康保険証の切り替えに伴って通知された『資格情報のお知らせ』のみを持参する患者に対しては、どのように受給資格の確認をするのか。」に対する「(答)」として、冒頭に示したような解釈を明らかにしました(別項で詳細)。
政府は2024年12月2日、国民健康保険証の新規発行を終了。マイナンバー(個人番号)カードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」への移行を強行しましたが、マイナ保険証の利用率が28・65%(4月)にとどまる現状を前に、方針転換を余儀なくされた格好です。
相談相次ぎ市に要請も
各地の民商

各地の民主商工会(民商)にも、多くの自治体で国民健康保険証が有効期限を迎える7月31日以降の対応について、相談が相次ぎました。
滋賀・湖東民商では「マイナンバーカードを作っていない人はどうすればイイの?」という相談に対し、マイナ保険証を登録していない場合には「資格確認書」が送付され、「従来の保険証と同様に一定の窓口負担で受診できる」ことを民商ニュースで紹介。
静岡・浜北民商は4日、浜松市に要請。国民健康保険証の廃止に伴って混乱が予想されることから、「資格確認書」を全ての国保加入者に送付することを求めました。
別項 答
●しかし、令和7年8月1日移行、多数の自治体で国民健康保険の健康保険証が有効期限切れにより順次執行していくことにより、気がつかずに有効期限が切れた健康保険証を引き続き持参してしまう患者、健康保険証の切り替えに伴って通知された「資格情報のお知らせ」のみを持参する患者が保険医療機関等を訪れることも当面は想定される。
●患者が有効期限を迎えた従来の健康保険証からの切り替えやマイナ保険証の電子証明書の有効期限の更新等への対応が必要な中において、こうした場合の移行期の対応として、患者に10割の負担を求めるのではなく、保険給付を受ける資格を確認したうえで適切に受診が行われるよう、被保険者番号等によりオンライン資格確認システムに資格情報を照合するなどした上で、患者に対して3割等の一定の負担割合を求めてレセプト請求を行うこととする運用は、保険医療機関等の現場における実態を勘案すれば、暫定的な対応として差し支えないものと考える。
●こうした移行期における暫定的な対応は、最後に切り替わる自治体の健康保険証の有効期限が令和7年12月1日であることに鑑み、令和8年3月末までの対応とし、あわせて、保険医療機関等から患者に対し、次回以降はマイナ保険証又は資格確認書を持参いただくよう働きかけることについて御協力いただきたい。