高過ぎる国保料・税 民商に相談し「助かった」|全国商工新聞

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 「国保料、何でこんなに高くなったの!?」―。6月に入って、各地の自治体から今年度の国民健康保険(国保)料・税の決定通知書が届き始め、民主商工会(民商)には「高過ぎて払えない」との相談が多数寄せられています。民商は、集団減免申請などに取り組み、「50万円余りの国保料が、5分の1の約10万円に減額された。民商に相談して、本当に助かった」などと喜ばれています。一方で、大阪府と奈良県が昨年度、共に”維新知事”の下で府・県内の保険料水準の「完全統一」を強行し、大阪府は全国一高い国保料となりました。国が全国で保険料水準の完全統一を進めようとしているのに対し、民商は国保料・税の引き下げを求める自治体要請にも取り組んでいます。

即時14万円の減額に 大阪・住吉民商 大阪市の新減免学び

大阪・住吉民商の国保減免申請の説明会の様子

 「今後の所得の見込み額で国保料の減免申請ができ、即時減免が適用されて、55万円の国保料が41万円に、14万円も減額された。こんなに下がるんですね」―。大阪市住吉区を活動エリアにする住吉民商は、5月から国保減免説明会を連続で開催し、国保料の減免を勝ち取っています。

見込みで適用に

 5月15日に開催した説明会には、2人が参加。確定申告書や収支状況の分かる資料を準備し、昨年度から変更になった大阪市の新しい減免制度を学びました。
 これまでの減免制度から変更があり、今後の所得の見込み額で減免が可能となり、6月中に「減免申請書」を提出することで、来年3月分まで適用されることを確認。2025年度の保険料額の計算や保険料の内訳を学びました。
 参加した松山隆さん(仮名)=プリント基板配線設計=は「見込み額で減免制度が適用されるんですね。皆さん活用した方がいいですね」と述べ、説明会後に5月末までの売り上げと仕入れ、経費の帳簿を基に、提出する書類を作成し、減免申請に挑戦しました。6月以降の仕事の受注機会が見通せず、5月の売り上げが激減。24年分の申告額を確認し、25年の見込み所得を帳簿を基に計算すると、7割に減少することが判明。営業不振などによって「世帯見込み所得が、前年比10分の7以下となる世帯」に該当したため、減免申請書を作成しました。

完全統一で悲鳴

 松山さんが申請書を、住吉区の国保課窓口に提出すると、即時減免となり、国保料は55万円から41万円に減額され、民商事務所に喜びの報告に訪れました。
 民商では、減免制度の活用をさらに広げようと、会内外に知らせています。7月に開催した2回の減免学習・相談会には8人が参加しました。
 そのうちの1人が、申請時に窓口で「収支内訳書を提出するように」と求められる事例も発生。大阪市への要請で「収支内訳書に限定せず、収支を確認できる資料で代用できるようにすべき」と求めています。白色申告の会員は、窓口での対応が改善されるのを待って、申請しようと準備を進めています。
 大阪府内の国保料の「完全統一」以降、国保料負担は増加し、収入の20%近くを占めるなど、重い負担に悲鳴が上がっています。民商は、減免制度の活用とともに「高過ぎる国保料を引き下げるため、自治体要請や署名を広げよう」と呼び掛けています。

申請で40万円も減る 大阪・豊中民商 減免制度の活用訴え

 「減免申請して、国保料が40万円も減った!民商に相談して、本当に助かった」―。
 こう喜ぶのは、大阪・豊中民商の安田渚さん(仮名)=美容室。昨年12月まで美容室の従業員だった安田さんは、今年1月に独立開業しました。
 協会けんぽから国保に変わり、豊中市の国保課から年額50万円以上の決定通知書が届き、びっくり仰天。開業と同時に民商に入会していた安田さんは「高い国保料になるよ」と聞いていたものの、これほど高額だとは思いませんでした。
 民商で相談し、収支を計算したところ、1年目は赤字が見込まれることが分かりました。すぐに1~5月までの集計表と国保料減免申請書を作成し、市の窓口に提出すると、国保料は約5分の1となる年額10万円に減額されました。
 安田さんは「40万円も減って、本当に良かった。自分で市役所のホームページを見ましたが、何を提出すればいいのか、分かりませんでした。仕事が忙しくなり、国保課に相談することも難しかったけど、民商で申請をサポートしてもらい、助かりました」と喜んでいます。
 これまで豊中市は、柔軟な減免制度で中小業者や市民の負担軽減を図ってきましたが、大阪府内の国保料「完全統一」により、減免要件が改悪されました。民商は「高過ぎる国保料の減免制度を活用しよう」と会内外に呼び掛けています。

「下げよ」署名1万6千人
愛知県連などの「会」 県に初めて要請 36自治体で引き上げ

国保引き下げを求める署名数を書いたプラカードを掲げる愛知県連などの参加者

 愛知県商工団体連合会(県連)や県内の民商も加わる「国保料の引き下げを求める愛知の会」は10日、県への要請を初めて実施。大村秀章知事宛ての「愛知県の財政措置を強化し高すぎる国保料(税)の引き下げを求める署名」1万6431人分を提出しました。
 2民商や愛知県社会保障推進協議会などから25人が参加。国保への県の財政措置を強化し、国保料・税を1人当たり3万円引き下げることや、子どもの均等割の減免制度の創設などを求めました。
 要請では、県内の全54自治体のうち、2024年度に国保料・税を引き上げた自治体が41自治体に上り、25年度は改定結果が明らかになった43自治体のうち36自治体に上ると強調。21年度と比較して、1人当たりの平均納付額は3万円も増えたと指摘し、県の財政措置で国保料・税の引き下げを求めました。
 「高い国保料では安心して暮らせません」「国保料は生活を困窮させるほどの金額です」「他の健康保険は本人の収入だけで保険料が決まるのに、国保は子どもが生まれると、家族分が増えていき不公平」など、寄せられた切実な声を紹介しました。
 参加した生田恵子さん=グラフィックデザイナー=は自身の状況を語り「25年度の国保料は15万円。26年9月末で、インボイス制度の特例制度が終われば、消費税負担と併せて年間50万円もの負担増に。もう限界です。県には国保料の値下げを再検討してもらいたい」と求めました。県側は「皆さんの厳しい実態は伺いました。ここで『こうします』とお話することは難しい」との回答にとどまりました。

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