自民党の西田昌司参院議員(京都選挙区)が3日、沖縄県那覇市での憲法シンポジウムで、ひめゆりの塔の展示について「歴史の書き換えだ」などと発言し、批判の声が一斉に上がりました。
沖縄は戦時中、本土決戦を遅らせるための「捨て石」とされ、生徒らも戦場に駆り出されました。ひめゆり学徒隊に動員された、沖縄師範学校女子部と県立第一高女の生徒が多数犠牲となったガマ(鍾乳洞)の上に、塔は建てられています。
シンポジウムは、沖縄県神社庁、日本会議沖縄本部などでつくる実行委員会が主催し、自民党沖縄県連が共催しました。西田議員は「要するに日本軍がどんどん入ってきて、ひめゆりの隊が死ぬことになったと。そしてアメリカが入ってきて沖縄は解放された」と発言し、「歴史が書き換えられるとこうなる」「間違った歴史教育」をしていると持論を述べました。しかし、こうした記述は、ひめゆりの塔にも、平和祈念資料館にも、現在も、過去もありません。玉城デニー知事の「認識錯誤も甚だしい」との批判は当然です。西田議員は党内外の強い批判を受け、発言を「不適切だった。沖縄県民にお詫びし、訂正・削除する」としたものの、発言自体は事実で間違っていないと、開き直っています。
沖縄では1949年以降は本土の教科書も使われており「間違った歴史教育」の指摘は事実誤認です。今も日本国内の米軍基地の約7割が集中し、米兵による性暴力などの人権侵害が後を絶たない沖縄で「アメリカに解放された」とする理解は、県民の認識と、かけ離れています。沖縄戦体験者の証言と研究に基づく「軍隊は住民を守らない」との教訓は、沖縄県民の中に息づいています。歴史を都合よく書き換えようとしているのは西田議員自身であり、憲法尊重擁護義務を負う国会議員の資格さえ問われます。
今年は被爆・終戦80年の節目であり、6月23日には80回目の沖縄「慰霊の日」を迎えます。憲法9条を生かし、平和を守り、経済を発展させてきたのは、戦争の惨禍の記憶を引き継いだ国民の不断の努力があったからです。7月予定の参院選で、平和をないがしろにする自公政権と、その補完勢力に審判を下しましょう。