「日本政策金融公庫(政策公庫)から、足場資材を購入するための設備資金700万円が実行されることに。今まではリースだったので、利益率も改善します」―。こう声を弾ませるのは、長崎県大村市内で足場仮設工事業「Y工業」を営むYさん。4月、政策公庫からほぼ希望額となる700万円の融資が振り込まれ、書類作成を援助してくれた大村民主商工会(民商)の事務所に喜びの報告を伝えてくれました。
足場仮設工事会社の従業員として勤めていたYさんは、6年前に一人親方として独立開業。「確定申告などの相談は民商がいいよ」と知り合いに紹介され、入会しました。独立後は、誠実な仕事ぶりで売り上げを少しずつ伸ばし、今では従業員2人を雇用しています。
Yさんはこれまで、現場の工期が何件も重なって、足場用の仮設資材が足りなくなるたびにリースで調達していました。今年2月、確定申告に際して、民商で自主計算ノートを開いていた時、宮田優二事務局長から「足場資材のリース料が大きいね。いっそのこと資材の在庫を増やした方がいいのでは?」と提案されました。実は、取引先の足場資材リース会社からも「中古でよかったら、買わないか」と打診されていたYさん。
しかし、借り入れがまだ残っていたため「金融機関に嫌がられるのではないか…」と、ためらっていました。
「購入した資材は、無くしたり、破損したりもあるだろうけど、支払いを終えたら、リースと違って、そのまま利益になる。いっそのこと融資を受けて在庫を増やしましょう。金融機関は、経営改善に前向きな融資申し込みは、むしろ喜びます。申し込むなら手伝いますよ」と、宮田事務局長に背中を押されました。
足場資材購入の見積額700万円と運転資金100万円の計800万円の申し込みを決意したYさん。事業計画書と「今回の融資で、利益が改善できること」を示す資料を、民商と相談しながら作り、申請しました。プラスアルファの運転資金分は認められませんでしたが、設備資金700万円全額を獲得できました。
Yさんは「これで、足場資材の在庫が一気に増やせる。仕事柄、元請けの都合で工期を振り回されることが多いが、これで現場が重なっても、十分対応できそうだし、利益も上がると思う。自分にとって、融資や資金繰りを一番気軽に相談できるのは、民商。入会して本当に良かった」と喜んでいます。
融資獲得のポイントは「改善できる」を分かりやすく
地方銀行で融資審査を担当していた 民商事務局長・宮田優二さん
大村民商の宮田優二事務局長は過去に9年間、地方銀行に勤務し、融資審査を担当していた経験から「資金獲得によって、どれだけ経営が改善できるかを、分かりやすく伝えることが大切」とアドバイスします。
「融資申し込みは自社をプレゼンするようなもの。”資料は相手に分かりやすく”が大事です。設備資金の場合、その融資によって、どのように業績が向上するのか、金融機関が納得できるストーリーを示すことがポイント。業績予想は、その根拠を示さないといけないため、日常の自主記帳・自主計算が基本であり、絶対に大切です。会員の皆さんから融資相談があった時は書類作成だけでなく、金融機関との面談に当たっての注意点も打ち合わせます。そして『大好きな商売を伸ばしたい』と、胸を張って言ってもらうようにしています」