「異次元」の少子化対策 国の責任で子育て支援の強化を|全国商工新聞

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 子育て世代の経済的負担を軽減する子ども医療費助成の拡大や学校給食の無償化など、子育て支援の施策が自治体で広がっています。地方議会での自民・公明など「オール与党」の妨害をはね返して実現させた市民の切実な願いと長年の粘り強い運動の成果です。
 物価高騰によって暮らしが困窮する中、全ての子育て世帯への支援、若者が結婚や子育てに希望が持てる政策は、自治体任せにせず、国の責任で取り組むべきです。
 岸田政権が3月31日に発表した「少子化対策」のたたき台には、子どもの医療費を助成している自治体への補助金を減額するペナルティー(罰則)廃止や、保育現場が数十年求めてきた保育士の配置基準を1歳児は現在の子ども6人から5人に、4~5歳児は30人から25人にすることが盛り込まれています。児童手当の所得制限の撤廃も示され、部分的にでも、岸田政権が子ども・子育て対策の強化に動き出した背景には、安心して出産・育児ができる社会を願う世論の高まりがあります。
 たたき台に、学校給食の無償化が検討項目に入ったことは前進面ですが、「課題の整理」にとどめています。自営業・フリーランス等の国民年金の第1号被保険者の育児期間にかかる保険料免除措置は「創設に向けた検討」を進めるというものです。実施時期はいずれも未定で、財源も不明です。実現には運動の広がりが欠かせません。
 また、「異次元」の少子化対策と言いながら、高等教育の無償化が入っていないことは大問題です。内閣府の調査でも、育児支援の最重要政策は「教育費の支援、軽減」が7割を占めるなど、重い教育費負担が少子化を加速しています。少なくとも学費の半減や奨学金返済額の半額免除に踏み込むくらいでないと、少子化に歯止めはかかりません。
 子どもの権利を尊重し、子育て支援の抜本的強化に向けて、民商・全商連は「高専・大学の授業料を無償」「奨学金をすべて給付制に」「食育である中学校までの学校給食を無償の自校方式」「地域の中小業者や農産物の活用を推進する」との要求を掲げています。道理ある要求が政治を動かす力になっていることを確信に共同を広げましょう。

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