税務署の強権調査 納税者権利憲章の制定を 参院財金委 小池晃議員(共産)が追及|全国商工新聞

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事前通知なく10時間調査 執拗な接触に納税者が恐怖

質問する小池晃議員

 「有無を言わせず日時を設定し、営業妨害のような税務調査が行われている」―。日本共産党の小池晃参院議員が3月30日の財政金融委員会で示したのは、中小業者いじめの強権的な調査の実態でした。「納税者の権利が守られていない状況を改善するには、納税者権利憲章の制定こそ必要だ」。小池議員は強く求めました。

業者いじめ実態示し

 小池議員が示したのは、宮城県と北海道で起きたケースでした。
 ケース1、仙台市の自動車整備業者。3人の税務署員が突然、事前通知なしで来て、10時間にわたる調査を行った。調査官がパソコンを占拠し、客への領収書も請求書も出せず、お客に迷惑をかけた。
 ケース2、北海道のペットブリーダー。税務署から連絡を求める執拗なショートメールが送られる。娘が留守番している自宅を署員が何度も訪問し、納税者と家族に恐怖を与えた。
 小池議員の告発に、鈴木俊一財務相は「税務調査は、納税者の理解と協力を得て行うのが基本だ」と明言。「国税庁は、職員に法令に定められた調査手続きを順守して実施するよう指示している」と答えました。
 国税庁の星屋和彦次長は「(国税通則法において)質問検査権は犯罪捜査のために認められたものと解してはならないと規定されている」と言明しました。
 同法は、納税者に対し質問検査などを行う実地の調査を開始する場合には、開始日時や場所などを事前に通知するとしています。星氏は、「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について」(事務運営指針)は「調査開始日前までに相当の時間的余裕を置いて行う」「調査開始の日時も、事前通知に先立って納税者の都合を聴取し、必要に応じて日程を調整した上で決定する」としていると答弁しました。
 小池議員は「決められた手続きを踏み、納税者の権利を守らせることが必要だが、実態はそうはなっていない」と反論。「納税者の権利を守る納税者権利憲章は国際的なミニマムスタンダード(最低限必要な基準)だ」として、主要7カ国(G7)首脳会議の議長国として日本も制定するよう求めました。

財務相は背を向ける

 鈴木財務相は「納税者権利憲章を制定するかどうかよりも、納税者の利益の保護や利便性の向上に向けた措置の手当てが重要だ」と強弁。納税者権利憲章の制定に背を向けました。

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