兵庫県加西市 国保の均等割を高3まで免除 兵庫県連・民商 全自治体要請が力に|全国商工新聞

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国は4月から未就学児を5割軽減

 「子どもが多い世帯ほど国民健康保険(国保)料・税が高くなる」「所得の無い子どもに国保料・税をかけるな」―。各地の民主商工会(民商)や全国商工団体連合会(全商連)などの長年の運動が実り、国は4月から、国保料・税の子どもの「均等割」の5割を公費で減額します(下の図)。「子育て世帯の経済的負担軽減」を理由に挙げますが、対象は未就学児に限られ、軽減は5割にすぎません。民商などの毎年の要請も力に、2020年度に兵庫県内で初めて高校3年生までの子どもの国保税の均等割を免除した加西市の取り組みを紹介します。

所得346万円子2人 年間7万円の減額

兵庫県連と県内民商は全41自治体を訪問・懇談し、中小業者の要求を伝えています(写真は、たつの市との懇談)
兵庫県連社会保障対策部の大谷恭三部長

 加西市では、高校3年生までの子ども1人につき、国保税の法定軽減無し世帯では3万6千円▽2割軽減世帯では2万8800円▽5割軽減世帯では1万8千円▽7割軽減世帯では1万800円―の均等割が全額免除(21年度)。課税限度額(21年度は99万円)以下なら所得制限はなく、申請は不要です。40代夫婦で子ども2人、所得346万円(法定軽減無し)の世帯の場合、59万4700円の国保税が52万2700円に減額されます。
 兵庫県商工団体連合会(県連)社会保障対策部の大谷恭三部長は「社会保障の改悪が続けられる中、加西市の対応は画期をなすもの。国保に加入する子育て世代を応援するもので、喜ばれている」と声を弾ませます。
 市の国保医療課職員は「国保には扶養の概念がなく、子どもの人数が多い世帯ほど国保税が高くなる。被用者保険と比較しても、子育て世帯に対する負担が重くなっている」と指摘。実施に踏み切った理由を「全国市長会も、子どもの均等割軽減措置導入を国に要望しており、市が独自に制度上の負担の格差を是正し、国保に加入する子育て世帯を支援する観点から決めた」と述べました。
 西村和平市長も「毎年、提案いただく内容を、一つずつ取り入れている」と話します。これまでも、はりま中央民商や県連などの「自治体キャラバン(全自治体要請)」での要請を受けて、「コロナ禍で国保の資格証明書発行ゼロ」などを実施してきました。昨年11月17日のキャラバンでは、22年度の国保税について「国保基金を使って引き下げることを国保運営協議会で確認した」と回答しました。

さらなる改善求め 民商・県連が努力

 大谷部長は「社会保障の改善は重い岩を動かすような作業だが、県内の民商と県連が、県と県内41の全自治体を訪問し、粘り強く懇談を重ねてきた運動の成果が出ている。さらなる改善へ努力したい」と話します。
 8回目となる県連の自治体キャラバンは昨年11月1日から12月24日まで、中小業者支援や社会保障制度の拡充などを求め、取り組まれました。

国民健康保険料・税の均等割

 収入に関係なく、世帯当たりの国保加入者数に応じて課される保険料(応益割)。自治体によって金額は異なり、毎年見直される。東京23区の場合、均等割は1人当たり年間5万2200円(20年度)。生まれたばかりの赤ちゃんにも課税され、「人頭税と変わらず、子育て支援に逆行する」と批判が高まっていた。2020年に全商連が行った調査では、35自治体が子どもの均等割を独自に減免していると回答した。

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