確定申告のワンポイントアドバイス(6)事業経費と家事消費(家事費)|全国商工新聞

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 今回は事業経費と家事費との区分や、複数年にわたり経費計上する「減価償却」を中心に解説します。

 まず、事業所得でいう「経費」とは、材料仕入れ、外注費、人件費、交際費、家賃などの支出のことをいいます。「事業収入を得るために必要な支出」と考えれば、分かりやすいと思います。一方で、自分の生活に必要な支払い(家事費)は所得税の計算では経費とはなりません。個人の確定申告では、この事業経費と家事費とを区分することが必要となります。個人事業主は事業用と生活用の財布が同じという場合が多いと思います。そのため、レシートや領収書などの保存が大切です。「レシートを無くしたら経費で落ちない」という話を聞きますが、「事業収入を得るために必要な支出」を行った事実はあるわけですから、伝票や帳簿(手書きのメモでも構いません)へ記録しておけば、事業経費であると主張することができます。
 また、事業用に必要な支出であっても、いったん、固定資産等として計上し、時の経過に応じて経費として処理するものがあります。例えば、機械装置や事業用車両の購入や、修繕費であっても資産価値や耐用年数を増加する支出が、これに当たります。前者を設備投資、後者を資本的支出と呼びます。
 設備投資と資本的支出については、減価償却計算をして、経費の金額を計算します。減価償却とは「固定資産の耐用年数に応じて費用とする」ことです。所得税法では、償却費の必要経費算入は、原則として「定額法」を用いて、毎年同じ金額を減価償却費として経費に計上することになります。なお、少額(10万円~30万円未満)の資産取得については特別な計算ができるものがあります(表)。

 次に減価償却費以外の経費について説明します。自宅の一部を事務所としているが、少しでも家賃として経費にならないかという質問を受けることがあります。現行の所得税法では、事業経費と家事費とを合理的に区分せよとなっていますから、固定資産税、水道光熱費、減価償却費などを、面積や使用割合などで合理的に区分すれば、事業経費としても構いません。
 全商連の「自主計算パンフレット2022」(本編)にある経費早見表を参考にすると良いでしょう。


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