確定申告のワンポイントアドバイス(7)社会保険料控除と医療費控除|全国商工新聞

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 所得控除の中でも全員に適用される社会保険料控除と、多くの方が対象となりやすい医療費控除について解説します(配偶者(特別)控除などの人的控除は次回で解説)。
 まず、「社会保険料控除」(表1)ですが、健康保険料、国民年金、厚生年金などの国等に支払った保険料で、2021年中に支払ったものが控除対象となります。前年分や翌年分であっても、21年中に支払いをしていれば控除対象となります。

 また、納税者と生計を一にする親族の分も納税者が支払っていれば、合算して申告することができます。ここでいう「生計を一にする」とは、同居していることに限られません。別居の場合でも生活費や学資金を送金し生活を支えている場合には、生計を一にしているといえます。
 国税庁は公的年金から天引きされているものについては「名義が帰属するため合算できない」という見解を示しています。「生計を一にしている」という原点に立ち返れば、どのような方法で保険料を納めていても、合算して社会保険料控除の対象にするべきでしょう。
 次に医療費控除について解説します。21年中に支払った医療費のうち、10万円を超えた分が控除の対象となります(最高200万円)。ただし、総所得金額等が200万円未満の場合は、表2の計算式となりますから、医療費の合計額が10万円未満でも諦めず計算してみましょう。高額療養費制度などで補填された金額は、医療費から差し引いて計算します。

 医療費控除を受ける場合には「医療費控除の明細書」を作成して確定申告書に添付します。医療保険者が発行する21年の「医療費通知書(お知らせ)」の添付で明細書の記載を簡略化できますが、10月分くらいまでしか記載されていませんので、記載されていない分については、自分で明細書に記載し、計算します。医療費控除の対象となるか、悩むことが多いと思います。医者の処方がある、保険の適用があったという場合は、ほとんど対象になると考えられます。また、診療等を受けるための電車やバスの交通費なども対象です。
 スイッチOTC医薬品(医療用から転用された医薬品)の購入やインフルエンザの予防接種、特定健診などを受けた費用が1万2千円を超えるときは、セルフメディケーション税制を選択することもできます。購入した対象製品の情報が表示されたレシート・領収書の保存が必要です。


 >> 確定申告のワンポイントアドバイス(8)配偶者(特別)控除とひとり親控除

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