追徴課税取り消しに|全国商工新聞

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帳簿見よと抗議

大分・豊肥民商Kさん=ペットサービス=

 「こんな乱暴なやり方はあんまりだ」―。大分税務署が電話1本で、2万2900円の追加税額を通知してきたことに憤るのは、大分・豊肥民主商工会(民商)のKさん=ペットサービス=。6月16日、大分民商の仲間と税務署に出向いて抗議。応対した総務課長と担当署員は誤りを認め、追徴課税を取り消しました。
 Kさんに大分税務署から電話が入ったのは、6月2日。「55万円の青色申告特別控除に該当しないので、2万2900円の所得税が追徴になります」と納付を迫られました。
 Kさんは、会計ソフトを使って複式簿記で記帳し、青色申告をしていました。
 特別控除の条件に該当するかどうかは、帳簿などを確認しなければ判断できないにもかかわらず、税務署は電話1本で追加税額を通知してきました。
 Kさんは「帳簿も見ずに決められても困る」と抗議。署員は、帳簿を付けているとは思っていなかったのか、元帳をめくりながら「あ~」と言ったきり無言になり、ページをめくり続け、しばらくして、「これなら大丈夫(55万円の特別控除の対象)です」と態度を改め、総務課長は「最初の電話で説明が不十分だったため、ご足労かけることになってしまった」と謝罪しました。

55万円の青色申告特別控除

 「55万円の特別控除」とは、青色申告で①複式簿記で帳簿をつける②申告書に貸借対照表と損益計算書などを添付③期限内申告―を条件に、所得から差し引くことのできる控除のことです。
 2020年分の所得税確定申告から青色申告特別控除の適用要件が変わり、これまで65万円控除が適用されていた場合でも、新たに設けられた「e-Taxによる電子申告」か「電子帳簿保存」のどちらかの要件を満たしていないと65万円控除が適用されず、55万円控除しか受けられなくなりました。行政が自らの作業軽減のために電子申告を推進することなどが目的です。

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