創立70周年めざし=全商連第54回定期総会(ⅳ・ⅴ)|全国商工新聞

全国商工新聞

 ⅰコロナ禍で力を発揮 24年ぶり会員増実現へ
 ⅱ誰一人取り残さない民商 新時代の要請に応えよう 会長あいさつ
 ⅲ来賓あいさつ

 

ⅳ総会に対する常任理事会報告

新自由主義を転換して希望持てる経済社会へ

全商連事務局長 岡崎 民人

 全商連の岡崎民人事務局長は、前総会以来2年半の活動を振り返り、「内政、外交、政治モラル、新型コロナ対策など、あらゆる面で行き詰まった安倍政権を退陣に追い込んだ」と強調。来年8月の全商連創立70周年を展望し、今後の重点的な活動方向を示しました。
 「給付金も底をついた」「客足が戻らない」-。コロナ禍の下、中小業者の苦難は一層深まっています。ところが、菅義偉首相は「自助」「消費税のさらなる増税」などに言及。日本学術会議への人事介入や大軍拡、個人番号(マイナンバー)強要などを進め、「より横暴で強権的となり、大企業優遇・アメリカ言いなりに新自由主義路線を暴走する危険性を示している」と指摘しました。
 「新自由主義とルールなき資本主義の道をこのまま進むのか、それとも持続可能な社会を築くのかをめぐって、大きな分岐点を迎えている」とした上で、市民と野党の共闘が前進する中で、「次の総選挙で政権交代の条件が広がっている」と解明。「憲法を力に、希望の持てる経済社会の実現に力を合わせようではありませんか」と訴えました。

困難を助ける 民商の真骨頂
熱心に常任理事会報告を聞く参加者=新潟会場

 要求運動では、「商売を続けていること自体が社会貢献」として、2年半の運動の前進面に触れました。
 新型コロナ対策をめぐる成果では、持続化給付金や家賃支援給付金などで「政府や自治体がかたくなに拒否してきた直接支援の道をこじ開けた」と強調。ウェブ申請への援助などで、「困ったときには力になるという民商の真骨頂が発揮された」と述べ、「コロナ後の社会を生き抜く上でも重要な課題」として、最賃引き上げに見合う施策拡充、起業や事業承継への施策拡充とフリーランスへの処遇改善などを位置付けました。
 循環型経済の確立と災害対策の強化では、呼び掛けから6年目を迎えた自治体要請の成果を重視。災害への復旧・復興に対する支援策の拡充を国に迫ってきたと述べ、大阪市廃止の是非を問う住民投票で「反対」多数となったたたかいの意義をアピールしました。
 コンビニ、損保、運送、料飲、スーパー、ペット、文化・芸術など、さまざまな業界・団体と懇談し、共感を広げてきた取り組みも評価しました。
 消費税増税中止の協力・共同では、「税率引き上げに賛成してきた国会議員が減税を主張し始めるなど、大きな変化を生み出す力となった」と、運動の広がりに成果がありました。
 菅首相が言及する「消費税率引き上げ」の動きに対しては、「さらなる増税などは断じて許せない」と言明。5%への引き下げ、複数税率・インボイス制度の廃止に全力を挙げ、「応能負担の原則を国税・地方税・社会保険料のあらゆる分野に徹底させる」と宣言しました。
 申告納税制度の擁護発展と納税者の権利確立に触れる中で、コロナ禍での持続化給付金の申請を通じ、「あらためて自主記帳・自主計算・自主申告の重要性が明らかになった」と指摘。危険なマイナンバー制度を廃止する共同を広げる決意を示しました。
 社会保障の分野では、国民健康保険(国保)料・税の負担軽減、受療権の保障を求める協力・共同に力を注いできました。
 憲法を生かし平和・民主主義を守る運動では、沖縄の辺野古新基地建設阻止などの課題を指摘。「‘憲法9条を守れ’の世論と運動を大きくしていくことが決定的に重要」と述べました。核兵器禁止条約の発効は「ヒバクシャをはじめ国際的な市民運動による歴史的成果」として、日本政府に条約の署名・批准を迫る運動の重要性に触れました。

常任理事会報告ではパワーポイントを活用。前総会以来の2年半を振り返り、総会方針の理解を深める資料が示されました
旺盛な相談で前年比3倍増

 組織建設では、「前総会時現勢を突破するには至っていない」としながらも、1月1日現勢を会員で1968人上回り、24年ぶりに年間増勢を実現する見込みで、商工新聞読者でも1月1日現勢を上回りました。「前総会後の2年4カ月間に、読者4万8037人、会員2万4241人を増やした」と報告しました。
 実践上の具体的な努力としては、①要求を掘り起こす対話運動②旺盛な相談活動③今年4~8月に前年比で3倍を超える会員拡大につながったコロナ禍での懸命な対応-の3点を分析しました。
 続いて、要求掘り起こしと持続拡大、相談活動と運動の継承・発展、商工新聞と学習・教育活動を取り上げました。前総会以後の2年4カ月で相談者が会内20万8795人、会外4万3504人に上り、「大勢で集まることが困難でも、生き抜くため、話し合い、相談し、助け合ってきた」と評価しました。
 商工新聞中心の活動では、「よく読み、増やし、配達し、集金し、通信・ニュースを送る」ことを呼び掛けました。
 班・支部と機関会議については、「会員を運動の主人公にするため、班・支部活動を強め、会員の所属率を高めることが大切」と重視。「仲間の一人一人が孤立感を深めることがないように、身近な集まりを増やすことが求められる」と述べました。
 共済会をめぐっては、コロナ禍が医療・保健体制の脆弱さを浮き彫りにしており、「全商連共済会第26回総会(11月23日)の方針案に学ぼう」と提起しました。
 業者婦人対策では、全婦協第33回総会(10月25日)でコロナ対策や所得税法第56条廃止を求める運動が深められたことを受け、「副業やフリーランスとして働く女性にも、民商や婦人部の魅力を伝えていこう」と語りました。
 業者青年対策では、全青協第45回総会(11月22日)を前に、既に前総会時の部員現勢を上回っている点を確認。「コロナ支援制度活用フローチャート」の活用や、この間2回開かれたオンライン青年交流の成果を生かし、民商運動の継承・発展を訴えました。
 連合会組織の役割と県連機能の強化では、①全商連方針・決定の具体化②県規模での運動の組織③支部役員の育成に向けた民商への援助④組織者としての事務局員の力量強化-を挙げ、「ウェブを活用した情報交換」にも触れました。
 最後に、「民商・全商連の運動は、道理・団結・共同の理念を貫き、幾多の困難を、一つ一つ乗り越えてきた歴史でもある」とし、全商連創立70周年に向けた組織の成長発展を呼び掛けました。

 

ⅴまとめ報告

全商連第54回定期総会のまとめ報告

事務局長 岡崎 民人

 全商連第54回総会で、岡崎民人事務局長が行った「まとめ報告」(要旨)は、次の通りです。

 常任理事会を代表して、まとめを行います。役員・代議員の定数619人中、欠員1人、出席596人で、出席率は96.4%です。女性の参加は51人でした。
 新型コロナ感染症拡大のため、総会を半年間延期せざるを得ませんでした。「2年に1回開く」という規約を厳守した運営を貫くために、これまでやったことのないウェブ総会になりました。「全国が一堂に会せない」「一部、発言が聞き取れない」など、ご不便をおかけしました。緊急措置としての対応にご協力いただき、感謝いたします。
 第54回総会は、政府による日本学術会議の人事介入問題、コロナ感染症から命と健康、生業をどう守るかが重要な課題となっている臨時国会の最中という緊迫した情勢の中で開かれました。コロナ禍に乗じて中小企業を淘汰しようとする動きは断じて許せません。
 本総会は、「憲法理念を広げ、コロナ危機打開、消費税減税実現! 70周年を力に、民商・全商連の成長発展を」をスローガンに開催されました。120通を超える祝電・メッセージ、全労連議長、日本共産党委員長のあいさつは総会スローガンと響き合うものです。
 14人が発言しました。「共同の時代」「地域循環型の経済」「自治体要請」「業種別・問題別の取り組み」「平和・民主主義の課題」「拡大で悪政に反撃」についても深められました。
 大阪市解体の是非を問う住民投票、核兵器禁止条約の批准をめざす運動など、民商の存在意義を示し、勇気を与えてくれました。新型コロナから経営を守る取り組みでは、自治体要請の重要性、民商・県連・全商連の連携の大切さを浮き彫りにしました。
 要求運動と組織建設の一体的推進が共通して語られました。全国津々浦々に民商があり、どの民商にも光る活動があることも共通の思いになりました。
 共同の時代に、どんな民商づくりを進めるのかについて、です。
 一つは、変化に対応した相談活動と要求運動の推進です。コロナ危機から誰一人取り残さない対応や消費税減税・インボイス中止で商売をつぶさせない対策が求められています。
 二つは、10カ月以内に必ずある総選挙などで、全国各地で立憲主義回復をめざす市民と野党の共闘に貢献していくことです。
 三つは、商工新聞中心の活動と班・支部づくりで全会員の力を引き出すこと。民商の魅力を伝える新会員歓迎学習会の開催が不可欠です。
 四つは、全商連創立70周年を節目にした取り組みです。歴史を継承し、運動を創造し発展させていきましょう。各組織で、決意新たに「成長・発展目標」を確立します。
 全商連は、2021年8月に創立70周年を迎えます。総会の成功を確信とし、共同の時代に中小業者の生きる道を開き、歴史に残る奮闘を開始しましょう。総会に参加した私たちが運動の先頭に立つことを呼び掛け、まとめの報告とします。

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