全国商工新聞

 「市に生活費を差し押さえられた」―。7月13日、大分・豊肥民主商工会(民商)の事務所に飛び込んできたのは、豊後大野市でサービス業を営む原田知子さん(仮名)。国民健康保険(国保)税の滞納を理由に預金を差し押さえられましたが、民商の仲間と一緒に抗議し、差し押さえた全額の返還を約束させました。「これで少し安心した」とホッとしています。
 原田さんは数年前から国保税が期日通りに払えず、延滞税を合わせると43万円超が滞っていました。毎月5千円ずつ分納していましたが、コロナ禍の中で売り上げは1カ月10万円ほどに減少し、ギリギリの生活を送っていました。5月、6月は外出を控え、分納ができなかったため7月1日、2カ月分の1万円を市役所の支所で納付しました。ところが7月10日、市から差し押さえの通知が送られてきました。
 慌てて通帳を記帳すると、1万円を納付した1日当日に、3万6千余円の預金全額が差し押さえられていました。「光熱費や電話代の引き落としのために残していたのに…」。目の前が真っ暗になった原田さんは、インターネットで調べて豊肥民商を見つけました。事情を聞いた事務局は、すぐに原田さんと一緒に市税務課に向かいました。
 「連絡がなく、分納もなかったので差し押さえをした」との説明に、原田さんは「1日に支所で1万円を納付した。そのときは何も言われなかった。差し押さえる前にどうして事情を聞いてくれなかったんですか。申告を見れば私の収入が分かるでしょう。ただでさえ生活が苦しいのに、これでは生きていけない」と涙を浮かべながら抗議。事務局も「コロナ禍でなけなしの生活費を差し押さえるなんて、あんまりじゃないですか」と市の対応を厳しく批判。納付計画を示して返還を求めました。
 市の担当者は「実情を聞かせてもらったので、最短で返還したい」と態度を改め、差し押さえた預金全額の返還を約束しました。

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