省エネ住宅の時代に向けて(下)|全国商工新聞

全国商工新聞

NARUTA建築事務所 主宰
愛知・知多中央民商 成田完二さん

 イソップ童話「北風と太陽」は、北風が冷たい風を吹き付けても旅人のコートを吹き飛ばすことはできず、太陽が暖かい日差しを当てると、旅人はコートを脱いだ、という話でした。北風は、冷たい空気で旅人の体温を奪います。
 熱伝導の作用ですね。太陽は赤外線で暖めます。これを輻射といいます。熱の伝わり方には、熱伝導と輻射があります。
 熱伝導は計算できますが、輻射は計算できず分かりづらいものです。例えば、汗をかいている人が近づいてきただけで、温度が上がったように感じます。部屋の温度が上がったのではなく、その人が出す赤外線を感じるのです。
 夏、締め切った部屋に帰ってきて冷房を掛けてもなかなか涼しくなりません。熱くなっている部屋のいろいろなものが、冷房をかけると一斉に赤外線を出します。つまり、壁や天井、家具まで一緒に涼んでいるのですから、大変なエネルギーロスです。
 冷暖房を切って外出から戻ってきたら、外出時と同じ室温のまま。それが理想ではありませんか。
 部屋の中の熱源である人は外出していて、居ません。家電は切ってありますから、内部で温度が変わる要因はありません。全ては外部からの影響なのです。

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