新型コロナ 被害補償など業者支援を 各地の県連・民商が自治体交渉|全国商工新聞

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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、中小業者の営業と暮らしにも甚大な被害が生じています。各地の民主商工会(民商)は、売り上げや仕事の激減などの実態をつかむとともに、緊急切実な資金繰りや家賃・リース料などの固定費補助などを求めて、自治体要請を行っています。

「国にも働き掛ける」 高知県連 県担当者が回答

高知市の観光スポット「ひろめ市場」も時短営業、臨時休館に

 高知県内でも、コロナウイルス感染者が10人を超え、事業活動にも大きな影響が出ています。
 毎日、多くの人でにぎわっていた高知市の観光スポット「ひろめ市場」も、3月9日から時短営業、12日から15日まで臨時休館に。
 市場で居酒屋を営むYさんは、「お客さんが感染してはいけないので、9日から休業している。体力(資金力)の弱い事業者も多い。融資だけではなく民商が要望している固定費の補助が必要だ」と、影響の長期化に不安を募らせています。
 Nさんは、「当店は土産物店なので、県外客、外国客が主。休館前からお客は激減し、売り上げは10分の1になっていた。4日間休館は厳しいが、やむを得ない。休んでも従業員8人には、給料を払わないといけない。小学校休業等対応助成金の対象を、休校した子の親以外にも広げてほしい。この状況が長引けば廃業に追い込まれる業者も出る。早期の終息を祈るしかない」と語ります。
 県内各地から悲鳴のような声が…。「2月に生地を発注したが、中国製なので納品は5月になると言われた」(高知、椅子製造業)、「休校により給食食材の納入が止まり、月の売り上げが50万円減少する」(中村、野菜・青果卸)、「消費税10%で客が減った上に、コロナで客がほとんど来ない。ボウズ(客ゼロ)の日も」(県内各地、スナック・居酒屋)、「資材、部品が入ってこないので工事ができない」(県内全域、建設)、「客が減った。特にパーマが激減。廃業も頭をよぎる」(安芸、美容)、「日曜市が中止になり、売り上げゼロに」(仁淀川、農家)、「花の値が半分になった。箱代、輸送費、燃料代にもならない」(須崎、花き農家)など。中国製品に依存している業界、業種が多く、影響が長期化、深刻化することを危惧する声も多く聞かれました。

県に要請・懇談

 こうした事態を受け、高知県商工団体連合会(県連)は8日、県知事宛てに、融資条件の緩和、営業支援の補助などを求める要請書を提出し、経営支援課と懇談しました。
 東谷勝喜会長と高山健夫常任理事が、被害の実情や会員の声を報告し、緊急支援を要望。入江博孝事務局長は、セーフティネット保証の条件緩和、家賃やリース料・人件費等の固定費の補助などを求めました。
 応対した岡村忠純課長補佐は、「県としてもできる限りのことをしたいと思うが、国にも働き掛けていく」と回答しました。
 また、高知民商は高知市議会に陳情書を提出しました。県連は各民商に対し、議会への請願・陳情、自治体との懇談を行おうと呼び掛けています。

「支援検討したい」 島根・江津民商 江津市長が回答

民商の要請を聞く山下修・江津市長(左から2人目)

 新型コロナウイルス感染拡大により、「観光客の減少」「百貨店の売り上げが落ち込んだことなどで、納入業者は生産調整を強いられる」など多大な損失、被害が生じている問題で、島根・江津民商は3月16日、江津市の山下修市長に中小業者支援策を要請しました。
 民商会員の被害実態・要望等の聞き取り調査をまとめた資料を添え、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響による中小業者支援策の緊急要望書」を提出。①市内業者の感染症拡大による被害実態の調査を速やかに行うこと②利子・保証料に対する補給を行うこと③市独自の不況対策資金貸付制度を創設すること④学校給食の食材納入業者・農家に対する救済支援を行うこと―の4項目を要請しました。
 山下市長は「皆さんの協力も得て実態の把握に努めながら、市として、いかに支援できるか。民間金融機関からの借り入れの条件に対する補償を検討していきたい」と述べました。

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