新型コロナウイルス被害補償、自営業やフリーランスの支援は急務 各地の県連 実態示し自治体へ|全国商工新聞

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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、経済危機が広がっています。仕事や売り上げの激減などに直面する中小業者の困難を打開しようと、各地の県商工団体連合会(県連)や民主商工会(民商)は、実態をつかんで自治体へ緊急対策を要請しています。

「早急に回答する」 北海道連 道が対応約束

要請書を手渡す北海道連の石塚隆幸会長(左)

 北海道連は6日、知事に対し「新型コロナウイルスの感染拡大による経済的影響から中小業者の経営を守る緊急対策に関する要望」を提出しました。石塚隆幸会長、田口清英副会長、井上元美事務局長が、「緊急事態宣言」で苦境に立たされた中小業者への支援を求めました。
 道内の中小業者に、観光・宿泊業や飲食業にとどまらず、広い業界・業種に売り上げ減少などの被害が発生している事態を踏まえ、「このままでは、暮らしや地域経済に重大な影響が及ぶ。道の『緊急事態宣言』、政府の『自粛要請』に応える中小業者・フリーランスに対し、道をはじめ各自治体で最大限の支援を行うこと」はじめ10項目を要請しました。
 応対した道・中小企業課は、「知事自身が国に直接支援を要請しているが、現在、各振興局を通じて実態把握に努めている。要請内容を各部署と検討し早急に回答する」と述べました。
 要請では、「制度融資の活用促進」「既存債務の返済猶予」「地方税や国民健康保険料・税の納付の猶予」「家賃・リース代および人件費等の固定経費への補助」などを要望。「業種や規模の大小に関わらず、道内全事業所を対象とした『影響実態調査』の実施」「景気回復への緊急対策として、国に対し現行消費税10%を、当面の間、消費税率0~5%への引き下げを求めること」も求めています。
 要請行動は、報道機関9社とテレビカメラ1台が待ち構え取材。インタビューを受けた石塚会長が、中小業者の実態と切実な要求を訴え、NHK北海道のニュース等で報道されました。

「趣旨よく分かる」 大商連 府と意見交換

大阪府に申し入れる大商連の田中武久会長代行(右端)ら

 大阪商工団体連合会(大商連)は3日、「中小業者の生活と営業を守れ」と大阪府に緊急申し入れを行いました。田中武久会長代行、浅野純一副会長ら3人が参加。消費税10%による景気悪化の上に、新型コロナウイルスが重なり、中小業者は深刻な大打撃を受けている実態を伝えました。
 大阪府は、維新府政になって商工関連予算(融資預託金を除く)を年々削り、一般当初会計のたった0・228%しかありません(東京の3分の1、京都の5分の1)。新型コロナウイルスの対応でも、東京都は産業・中小企業対策に364億円を充てますが(2019年・20年度の補正予算)、大阪府は何の予算措置も行いません。
 参加者は、「東京都と同額とまでは言わないが、せめて商工関連予算を引き上げて、融資制度を拡充してほしい」「売上減少や注文キャンセル、資材の調達不能などが広がっており、中小業者への固定費補助や休業補償をしてほしい」と求めました。あわせて、税・国保料の減免や猶予制度の周知と、受動喫煙防止対策で一方的な規制を適用しないことを要望しました。
 対応した府の担当者は「要望の主旨はよく分かります。関係部局にも伝えます」と答え、中小業者の現状や街の様子などを意見交換しました。

新型コロナの影響で客足が遠のき平日は休業する飲食店も(画像一部加工)

 こちらから「黒門市場の観光客が減り、東部市場のある業者は売り上げが5分の1になって頭を抱えている」「製造業の一部が中国から国内に戻ってきているとの報道もあるが、実際に送られてくる見積書はあまりに安い単価でとても手が出せない」などの実情や、民商会員から寄せられた苦境の声を伝えました。
 また、「万博やカジノに税金をつぎ込むのではなく、府民生活や中小業者への予算を戻してほしい」「インバウンド偏重の政策そのものをやめるべき」と怒りを込めて訴えました。
 大商連は、「使える制度を相談しながら、苦境を乗り越えよう」「中小業者の声を集めて国や大阪府を動かしていきましょう」と会員に呼び掛けを強め、引き続き府に業者の実情をぶつけ、支援策を求めていきます。

「国に働き掛けも」 神奈川県連 固定費補助で県

要請書を手渡す神奈川県連の富塚昇副会長(右)

 神奈川県連は2月26日、消費税10%増税と新型コロナウイルス感染拡大の影響から中小業者の営業とくらしを守る緊急対策を神奈川県に要望しました。富塚昇副会長と三浦謙一事務局長が申し入れを行い、県側は産業労働局企画調整担当課長の八尋有造さんが対応しました。
 「中国からの部品がストップ。1年で1番自転車が売れるこの時期なので、本当に困っている」(自転車)「消費税を滞納している。注文はあるが中国から材料が入って来ないので、仕事が先送りになり、資金繰りが不安」(石材店)など、消費税とコロナウイルスが中小業者の営業に与えている影響を具体的に示し、①家賃補助、リース代、人件費などの固定費の補助制度の創設②返済据え置き期間の長期化、利子・保証料の補助、税金滞納者にも柔軟に対応すること―などを要請しました。
 八尋課長は「商工会議所などに問い合わせて情報収集はしているが、こうした生の実態を知らせてくれるのはありがたい。制度融資についてはすぐに検討したい。固定費の補助のハードルは高いが、国への働き掛けも含めて検討したい」と話しました。
 神奈川県連は引き続き実態を集めて、県に働き掛けることにしています。

☆神奈川県連に寄せられた中小業者の営業への影響

○中国から工具が入らないため仕事ができない(金属加工業)
○輸出物が動かない(梱包)
○中国から部品が入らず納品できない(パソコン販売)
○高齢者のバスツアーなど団体客がキャンセルに(飲食)
○高齢の患者さんが多く、家族から「電車に乗るのはやめた方がいい」と言われてキャンセルが出ている。売り上げ全体の1~2割ぐらい減(鍼灸)
○家族の意向で「デイサービスをしばらく休ませたい」という話が出始めている。1日1人が休むと1万円の収入減となり、小規模事業所は経営が成り立たなくなる(介護事業)
○半年先の仕事がキャンセル(電気設備)

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