【談話】「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ」等に関する税制改正大綱の閣議決定に断固抗議し、消費税率一律5%への減税とインボイスの廃止を要求する|全国商工新聞

全国商工新聞

2026年9月16日
全国商工団体連合会 事務局長 牧 伸人

 全国商工団体連合会(全商連)の牧伸人事務局長は9月16日、談話「『飲食料品消費税率の臨時的な引下げ』等に関する税制改正大綱の閣議決定に断固抗議し、消費税率一律5%への減税とインボイスの廃止を要求する」を発表しました。

 政府は9月15日、「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」を閣議決定した。その柱は①飲食料品に適用されている消費税の軽減税率を2027年4月から2029年3月31日までの2年間に限って8%から1%に引き下げる特例を実施する②その影響を緩和する事業者向けの特例をはじめ、農林漁業への給付金、外食産業への資金繰り・経営支援、税理士費用支援などを実施する③飲食料品1%相当分(6千億円)の範囲内で支援金制度を実施する④飲食料品1%が終わる2029年度から現役勤労者の税と社会保険料負担を軽減する「就業者負担軽減支援金」を導入する―というものである。
 10月初旬に召集される臨時国会で成立を狙う法案の基となる同大綱には重大な問題がある。
 第一は、消費税率の引き下げが就業者負担軽減支援金を導入するまでの「つなぎ」とされ、税率引き下げの対象と期間が限定されたことである。深刻さを増す物価高への対策や災害被災者支援が緊急に求められているときに、「飲食料品のみ、2年間限定」という税率改定は極めて不十分である。しかも、消費税負担が増える事業者が生まれるなど真に「減税」と呼べるものではなく、食品大手が莫大な消費税の「還付」を受けるなど、事業者間の不公平が拡大することになる。
 第二は、飲食料品を売買する事業者が簡易課税制度を選択している場合は消費税の納税額がゼロになる(売り上げにかかる消費税額と仕入控除税額を同額とする)特例をはじめ、本則課税や簡易課税の選択届出書の提出期限の扱いと簡易課税の2年しばりを適用しない特例、総額表示義務や中間申告、予約販売等への適用税率に関する特例など、より複雑化する消費税制度への対応が事業者に迫られることである。外食事業者についてテイクアウト等の経営多角化を支援するというが、税率が元に戻る2年後を見越した経営対策が必要になること自体、小規模事業者にとって多大な負担である。
 第三は、就業者負担軽減支援金の対象が税金と社会保険料を負担する現役勤労者に限定されるなど、国民の1割に過ぎないと指摘されていることである。これでは国民の9割が、飲食料品1%が2年後に8%へと戻されることによる増税だけが押し付けられることになる。
 そして、最大の問題は大綱の内容を実施するために必要な10兆円の財源提案が先送りされたことである。財源案をめぐる高市政権の行き詰まりの原因は、大企業の法人税実質負担率が中小企業の半分に抑えられ、所得が1億円を超えると、所得税と社会保険料を合わせた負担率が下がるなど、大企業・富裕層を優遇する政治を続け、米国・トランプ大統領言いなりに大軍拡を進めていることにある。
 この悪政を転換し、不公平な税制を応能負担、生活費非課税という公平な税制へと切り替えるなら80兆円を超える財源を生み出すことができる。そうすれば、消費税を廃止しても社会保障を拡充することが可能になる。少なくとも一律5%減税を実施するなら、複雑な特例は必要なくなり、「複数税率に対応するため」とした政府の口実を取り払い、インボイス廃止の道に進むことができる。軍拡から軍縮に向かえば、国民向け予算を増やし、日本の財政悪化に歯止めをかけることにもつながるはずである。
 多くの国民・中小業者が求める消費税の減税・廃止の道を踏み外し、中小業者に新たな不安と負担を強いる税制大綱の閣議決定に断固抗議し、対象と期間を限定しない消費税率一律5%への減税とインボイスの廃止を強く要求する。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから