2年間食料品1%は”愚策中の愚策”|全国商工新聞

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元静岡大学教授・税理士 湖東京至さんに聞く

 高市早苗政権は食料品の消費税率を2年間限定で、1%に引き下げようとしています。その問題点を元静岡大学教授で税理士の湖東京至さんに聞きました。

 厳しい経営環境物価は下がらず

 食料品の税率が1%になったら、価格が7%下がり家計が助かると思っている人がいますが、そうは問屋が卸しません。しかも、消費税という税金は”消費税分を本体価格に上乗せして消費者から徴収しなくてはならない”という義務もありません。税率が下がっても、売り手は値段を下げる義務もないのです。しかも、食料品販売店は物価高騰の影響を受けてギリギリの経営が続いており、消費税に関係なく、今も値上げせざるを得ない状況だから、なおさらです。

 飲食店の消費税納税額が大幅増

 飲食店の経営は、食料品が1%になったら、消費税の納税額が増えて成り立たなくなります。現在、飲食店は1年間の売上高に10%かけた額から、年間の食材仕入れにかかる消費税8%と、水道光熱費、店舗の家賃、消耗品などにかかる10%の消費税分を差し引いて納税しています。それが食材仕入れにかかる消費税が1%しか引けなくなるため、消費税の納税額が大幅に増えます。今でもギリギリで営業している店にとっては倒産の引き金になり、街から飲食店が無くなりかねません。
 簡易課税を選択している飲食店はどうなるでしょうか。簡易課税で適用されている「みなし仕入れ率」が現在の60%のまま据え置かれれば納税額は変わりませんが、政府は益税が出るとして、「みなし仕入れ率」を引き下げるかもしれません。そうなったら、消費税の納税額は増加し、経営が成り立たなくなる可能性があります。

 大手食品会社は還付金でもうけ

 食料品消費税1%で得をする会社があります。それは大手食品会社です。食料品の売り上げにかかる消費税額が1%で、7%分減るため、仕入れにかかった税額(仕入税額控除)を差し引くと、マイナスになり、還付金が発生するのです。図で試算したように、サントリーなどは消費税を1円も納めないばかりか、還付金が580億円ももらえることになります。端的に言えば、食料品1%は大手食品会社に補助金を与えるための制度と言ってもいいでしょう。

 減収の5兆円の財源は示されず

 政府や食料品1%推進論者は、減収分およそ5兆円に代わる財源を示していません。減収分をどうやって賄うつもりなのでしょうか。危険なのは「食料品1 %による税収減は、同じ消費税の増税によって賄うのが筋だ」という主張です。既に自民党内では10%の基本税率を12%に引き上げる案がささやかれています。
 食料品に1%税率を導入すれば、やがてフィンランド(25.5%)やノルウェー、スウェーデン(25%)のように高い標準税率を持つようになります。ヨーロッパ並みの税率は、日本経団連が強く求めています。高市内閣は経団連の要望を実現するために食料品1%を打ち出したといっても過言ではありません。

 日本経済再生へ消費税廃止こそ

 政府は、輸出企業に消費税を還付し続けていますが、さらに食料品1%で還付を受ける企業が増えます。一方、還付を受けられない事業者は、赤字でも納めなくてはなりません。そのため、事業者間に大きな負担格差を招く”愚策中の愚策”です。消費税はその仕組み上、人件費に課税する税金なので、消費税がある限り、企業は人件費を減らそうとします。そのため賃金アップが抑えられ、外注や派遣に切り替えられてしまうのです。
 消費税は、事業者が赤字でも納税する税金です。消費税を廃止すれば、中小企業やフリーランスの経営環境は好転します。その結果、従業員の賃金も上がり、消費税導入以来、低迷を続けてきた、わが国の景気を好転させることができます。
 「消費税を廃止するのはいいけれど、代わりの税収が無いのでは…」と心配する人がいますが、税金の公平原則・応能負担原則に基づいて、大企業や富裕層に応分の負担を求めれば、十分に確保することができるのです。

>> 全商連が国民会議問う討論集会開く 消費税一律5%、インボイス廃止に

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