「討論集会の中身が本当に良かった。高市政権に任せていたら、消費税は一向に減税されないし、国民生活は破綻する。皆さんの言う通り、消費税は一律5%減税、インボイス(適格請求書)は廃止しかない」(米穀商団体の役員)―。全国商工団体連合会(全商連)は13日、国会内で「国民会議とりまとめを問う」討論集会をオンライン併用で開き、150人以上が参加しました。社会保障国民会議の「中間とりまとめ」について、中小業者や医療関係者、農家、学者や税理士らが意見を交わし、国民会議の議論が完全に行き詰まり、2月の総選挙で各党が公約した消費税減税に真剣に向き合わない実態が鮮明になりました。税の専門家も、2年間限定で食料品のみの消費税1%は”愚策中の愚策”と批判します。
生活破綻から国民守れ 全商連が討論集会 「国民会議」と違う道

全商連の服部守延副会長が開会あいさつ。「政府が進めようとしている政策は、私たちの求めているものとは、かけ離れている。国民の立場で討論を深め、国民会議とは違う道があることを示す集会にしよう」と訴えました。
専修大学の望月爾教授と立正大学非常勤講師の奥津年弘税理士がリード発言(下の別項)。望月教授は、給付付き税額控除を実施している諸外国の例を挙げ「10年以上準備しても、うまくいっていない国があるのに、2年間で制度設計するのは無理がある」と指摘。奥津税理士は「消費税減税は2年間に限定されており、2年後の食料品大幅増税が確定している」と、国民会議での議論を批判しました。
中小業者や医療関係者、農家など7人が発言。それぞれの立場で消費税率一律5%への引き下げとインボイス制度廃止の必要性を訴えました(別項)。
全商連の牧伸人事務局長が、まとめ報告。「暮らしや事業者への支援は待ったなしだ。消費税率5%への一律減税とインボイス廃止に向けて運動をさらに広げよう」と訴えました。
日本共産党の小池晃参院議員が「消費税を一律5%に減税し、インボイスを廃止するために全力で頑張る」とあいさつしました。


問題多い給付付き税額控除
専修大学法学部 教授 望月爾さん

国民会議は給付付き税額控除の導入と、それまでの”つなぎ”としての消費税減税を議論しているが、具体的な政策を検討するものにはなっていない。
給付付き税額控除は、諸外国でも、その制度設計に苦労している。アメリカでは、不正受給や誤支給の割合が30%にも及ぶだけでなく、制度が複雑過ぎて必要な人に行き渡っていないといわれる。イギリスでは、2013年から一体的な運営をめざしてきたが、いまだにうまくいっていない。AIを活用しようとしたオランダでは人種や性別のバイアス(偏り)がかかり、本来給付しなければならない人が受給できない事態が起こり、政権が倒れた。
消費税をどうするかは、自民党内でも意見がまとまらず、具体的な議論ができていない。食料品の消費税率1%と給付を組み合わせて実質ゼロと言っているが、自民党税制調査会では議論されておらず、与党内でも反発が起きている。消費税減税は与野党のほぼ全党で一致しているのだから、国会で議論すべきだ。
社会保険料と税負担を軽減しようという方向は間違っていないが、それを2年でやろうとするのは無理がある。財源についても、マイナンバーを利用した所得や資産の把握が議論されるだけで、大企業や富裕層の優遇税制をただすことは議論されていない。既存の社会保障制度との整合性や多大な行政コストなど「できないこと」を「できること」として議論しているため、具体的に深まっていかない。
品目など限定せずに減税を
立正大学非常勤講師・税理士 奥津年弘さん

食料品の消費税率が1%になっても、モノの値段が7%下がるわけではない。仮に消費税率が下がっても、本体価格が上がれば、減税効果は打ち消される。
外食産業は売り上げには10%の税率がかかるが、食料品の仕入税額控除は1%となり、消費税負担が激増する。農林水産業も全体の85%が免税事業者だが、インボイス制度の導入で課税業者となった人がいる。その人たちは、売り上げにかかる消費税が1%となり、価格を上げられなければ、所得が減少する。
レジシステム改修にも時間がかかるというが、そうした対応はどうするのか。減税期間は2年間に限定され、2年後には大幅増税になることが確定しており、国民生活に大打撃を与えることは疑いようがない。食料品に限らず、品目や期間を限定した消費税減税はすべきではない。やるべきは、消費税の恒久減税であり、廃止だ。
高市首相は解散直後には「消費税減税は私の悲願」と言っていたが、そうであるならば、与党が多数を占めている国会で決めればいい。総選挙で争点を打ち消すために減税を言ったに過ぎない。消費税に固執する理由は、大企業への輸出還付金の温存と軍拡の財源にするためだ。「不公平な税制をただす会」は、大企業や富裕層の優遇税制を正せば、国と地方を合わせて70兆円の財源があると試算している。2年間、食料品のみの減税はまやかしに過ぎない。5%一律減税を求める運動を強めよう。
各界・各団体から発言
全国保険医団体連合会・工藤光輝事務局次長

国民が医療を受ける割合を示す「受療率」が低下している。経済的な負担が大きくなっていることの反映だ。医療機関にとっても、消費税は「損税」として大きな負担を強いられている。国民負担軽減のためには5%減税が必要だ。
不公平な税制をただす会代表・浦野広明税理士

税金は負担能力に応じて払うものだが、負担能力を無視して払わされる税金が消費税だ。消費税導入から40年近くになるが、運動でしか消費税はつぶせない。財源があることは示している。今日の集会を大きな力にし、頑張っていきたい。
東京個人タクシー労働組合・秋山芳晴委員長

インボイス登録をしていないと配車アプリが使えないなどの不利益がある。ベテランのタクシー運転手の多くは、地域に密着した営業をしており、公共交通機関の役割を担っている。インボイス廃止に向けて、スクラムを組んでいきたい。
インボイス制度廃止をめざす税理士の会・湖東京至税理士

食料品1%で大手食品会社は売り上げにかかる消費税が大幅に減り、還付される一方、外食産業は負担増になるなどの不公平が生まれる。食料品の税率引き下げと併せて標準税率が引き上げられる可能性もあり、大増税への道にもつながっている。
新潟・上越民主商工会 岩沢健会長=飲食

飲食店は、コロナ禍の影響から立ち直っていない中で、物価高で大きな影響を受けている。毎週のように食材や酒類の値上げが続いている。従業員と話しても「生活が厳しい」という声が聞かれる。消費税は5%に引き下げるしかない。
農民運動全国連合会青年部・渡辺信嗣事務局長

農家の数は、10年前から6割近く減少している。食料品の税率1%は生産者と消費者だけでなく、生産者間の分断を生む。農業の崩壊を防ぎ、国民の生活を守るために、消費税減税、インボイス廃止のために運動を強める。
消費税の廃止を求める埼玉連絡会・中村稔事務局長

埼玉県議会で、インボイス廃止を求める意見書が再び可決された。食料品1%は、仕入税額控除の問題もあり、外食産業は大きな影響がある。消費税は構造的に欠陥がある税制。業者団体として、一律5%を求めて運動を続ける。
消費税減税やる気ある? 全商連新リーフの活用を
全国商工団体連合会(全商連)はこのほど「どうなるの?社会保障国民会議『中間とりまとめ』消費税減税やる気ある?」と題したリーフレットを作成しました(A3版両面、二つ折り、オールカラー4ページ)=写真。国民会議で議論されている食料品の消費税率を2年間限定で1%にする案では①思うほど値段は下がらない②食料品だけでは物価高対策にならない③インボイス制度の廃止が困難になる④食品大手に消費税が「還付」される―などの問題点を指摘し、一律5%減税こそが、消費税・インボイス制度廃止につながるとしています。
高市政権の大軍拡路線によって、国民1人当たり年間28万円もの負担増になるとし、「戦争する国づくり」が進んで、中小業者・国民の生活が破綻に追い込まれないためにも税金の使い道を正すべき、と強調。
給付付き税額控除が、将来の増税の「免罪符」になる恐れがあることや、マイナンバー(個人番号)カードの取得義務化につながるばかりか、最大の問題は必要な財源が明らかにされていないことだと訴えます。新リーフを大いに活用して、「今やるべきは一律5%減税」の声を広げましょう。

03-3987-4391







