どう見る高市内閣 ①税制改革|全国商工新聞

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 「自民衆院3分の2超」を得た高市早苗政権。大軍拡と9条改憲を進める一方、社会保障は緊縮。中国を敵視し、排外主義をあおります。高市政権の危険性と、どう対峙するか。各分野の識者が解説します(全5回)。

税経新人会全国協議会
理事長・税理士 井上礎幸さん

 高市早苗政権が2025年10月に誕生し、今年2月にいきなり総選挙となった。結果は自民党の圧勝ということになるが、冷静に今後の高市「税制改正」の行方について考えてみたい。

総務相時代にはテレビ局に圧力

 本論に入る前に強権的な高市氏の過去の言動を確認したい。高市氏が2016年当時、総務大臣だった時に国会答弁で、放送法4条を根拠にNHKをはじめとするテレビ局に圧力をかけた。放送局に対し電波停止を暗に表明したのだ。
 そもそもマスコミは権力の監視機関としての役割が求められる。つまり、時の権力である政治家に対し、国民はテレビ、新聞、雑誌等を通じて情報を得て、選挙における投票行動の判断材料とし、世論調査、アンケート、街頭インタビューにおいて「街の声」を政治に届ける。これは「自由な言論機関」があることが前提だ。ここに権力を持つ者が軽々に圧力をかけたことが問題となったのだ。
 消費税率を10%に増税する際には、新聞社が食品等と同様に8%の軽減税率の適用を求めた。その理由として新聞社は、”その社会的役割から過度の税負担を負わずに国民に対して情報を提供する義務がある”という理屈を掲げた。
 結果として出版物のうち週2回以上発行する新聞などが軽減税率を勝ち取った。それは週刊誌や月刊誌、書籍は「社会的役割が低い」と主張しているのと同じだ。新聞社側が政府にすり寄り、自己の利益を優先したとしか思えない。
 高市自民党は総選挙の公約として、「飲食料品は、2年間に限り消費税の対象とはしないことについて、今後、『国民会議』において、財源やスケジュールの在り方など、実現に向けた検討を加速する」とした。
 総選挙で、他の政党が消費税減税・廃止の公約を掲げ(図)、注目が高まっていることに危惧を抱き、急きょ追加した項目だと思われるが、国会を軽視し、あくまで「検討する」程度の認識なのであろう。
 ”食品に対して消費税をかけない”というのは耳ざわりは良いが、そもそも消費税は事業者が計算し、負担する税であり、中小業者の事務的負担と金銭的負担が増えることは間違いない。
 さらに、増税との兼ね合いになるが、一部を減税することにより、消費税の標準税率など、他の項目で増税し、帳尻合わせが行われる危険性がある。
 26年度の税制「改正」が国会で審議されているが、その基礎となる税制改正大綱には「防衛力強化に係る財源確保のための税制措置」という項目がある。
 これは新設の税であり、対象は所得税である。その内容は所得税額に1%の税率で加算されるものであるが、東日本大震災の後に創設された復興特別所得税を1%引き下げて総額としての税額は変わらないように設計されている。
 復興特別所得税は令和19年度(2037年度)までとされていたが、それを令和29年度(2047年度)までに延長することも併せて改正されており、結果として増税となるのだ。

米国を非難せず肩並べて戦争か

 米トランプ大統領は軍事費増強を同盟国に要請し、高市氏は、2年前倒しで今年度中に軍事費のGDP比2%を達成すると明言している。復興特別所得税を先送りまでして軍事費増強を急ぐ必要があるのか。
 米トランプ大統領は、今年1月にベネズエラへの軍事行動を展開し、マドゥロ大統領を拘束し、2月にイランをイスラエルとともに攻撃し、最高指導者であるハメネイ氏を殺害した。
 これら一連の事件は、第2次世界大戦における宣戦布告をせずに真珠湾攻撃を行った日本軍の行動と同じではないか。高市政権は、こうした米国と肩を並べて戦争をしようというのか。
 高市政権の危険性を注視していくことが、とても重要である。

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