事前通知なく訪問し2時間以上拘束 「納税者が死のうが構わない」と暴言
全国商工団体連合会(全商連)は11月22日、「第43回事後調査状況・税金等アンケートのまとめ」を発表しました。毎年、行っているもので、今回は2024年7月~25年6月に発生した税務調査が対象です。23年10月に消費税のインボイス(適格請求書)制度が強行実施されて1年余り。インボイス登録事業者や消費税無申告者、年間売上高1千万円前後の消費税課税の「ボーダーライン層」への調査が目立ちました。
調査件数は762件と前回比で23件増。消費税課税業者への調査は567件(前回530件)で全調査件数の74.7%(同71.7%)を占めました。
調査の結果は、所得税・法人税の是認12.3%(同10.4%)▽3年以内の修正47.5%(同53.5%)▽4年以上の修正19%(同19.9%)▽更正、決定15件(同19件)―でした。消費税の是認は13.9%(同7.9%)▽3年以内の修正53.6%(同52.8%)▽4年以上の修正21.9%(同22.1%)▽更正、決定18件(同9件)―でした。
仕入税額控除否認は、白色20件▽青色2件▽法人7件となり、合計29件(同40件)。本則課税375件に占める割合は7.7%(前回359件に占める割合11.1%)となりました。
重加算税の課税は71件となり、修正、更正、決定の件数に占める割合は13.6%(同14.6%)でした。
売り上げ1千万円前後の調査目立つ
調査対象として、消費税課税「ボーダーライン層」への調査が前回に引き続き多く発生。自由記入欄には「調査を受けた全員が集団申告に不参加」「集団申告に参加した会員のところは調査ゼロ件」などの回答が見られるなど、3.13重税反対全国統一行動以外で申告した場合、税務調査を受けるリスクが高まることが示されました。
事前通知があったのは、調査件数の80%と前回87.6%から減少。無予告臨場は86件(11.3%)と、前回75件(10.1%)から大幅に増加。「事前通知もなく突然訪問。用があると言っても聞き入れず、2時間以上拘束された」「午前9時、事前通知なく6人で訪問し、調査を開始しようとした」など、強権的な調査が報告されました。
会外の調査では、「国税局が支援に入り、強制調査とみまがう行為を繰り返した」「午前10時から6時間半、トイレ以外は昼食や休憩もなく税務署内で聞き取り調査をされた」など、まるで警察の「取り調べ」「犯罪捜査」まがいの行為も報告されています。
「経費否認調査」や無理な完納強要も
税務調査の際に、旅費交通費や接待交際費、消耗品費などを家事関連費として疑い、経費として認めず、税額をつり上げる事例が報告されました。
国税、地方税を巡る徴収では、「滞納消費税を『完納しない場合は差し押さえる。納税者が死のうが、構わない』と暴言を吐いた」(国税)、「売掛金の差し押さえをちらつかせて2年間での無理な完納を迫り、強引に約束させた」(同)、「市税を毎月分納していたが、突然、売り上げが振り込まれた預金を全額差し押さえられた」(地方税)、「100万円以上の滞納は1年以内の計画でなければ、分納申請を受け付けない」(同)など、納税者の実情を無視した強権的徴収の事例が報告されました。

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