事前通知なし 仲間の立ち会いを拒否 不当な税務調査はね返す|全国商工新聞

全国商工新聞

民商で納税者の権利学び

 「税務署員に義務付けられた『事前通知の11項目』を励行しない」「無予告で訪れて暴言を吐く」―。違法・不当で強権的な税務調査が後を絶ちません。各地の民主商工会(民商)では、全国商工団体連合会発行の「自主計算パンフレット2025」などで納税者の権利を学び、毅然と主張。事前通知を改めて行わせたり、立会人を認めさせるなどして、納得のいく結果を勝ち取っています。

毅然と主張し納得の税額
大阪・東淀川民商 Aさん

 大阪・東淀川民商のAさん=電気工事=はこのほど、9カ月間に及ぶ税務調査を、納得のいく修正で終えました。
 Aさんに、東淀川税務署から連絡が入ったのは、昨年9月。電話で事前通知を受けましたが、仕事現場にいたため、内容を全て聞き取れませんでした。
 税務調査に臨むまでに、民商で何度も打ち合わせを行い、調査を受ける側にも、納税者の権利がある▽「事前通知の11項目」を励行させ、日時や場所は変更できる▽信頼できる人の立ち会いの上で調査を進める―ことなどを、「自主計算パンフレット」の「税務調査10の心得」などで学習しました。
 第1回の実地調査の際、Aさんは署員に対して「事前通知を、しっかりしてほしい。現場で電話を受けたこともあり、半分以上が分からなかった」と切り出しました。署員は「一度、通知をした。必要ない」と主張。続けて「民商の事務局員や第三者の立ち会いは認めないし、調査を進めることはできない」と言い放ちました。
 Aさんは、この発言に抗議。「納税者は税務に関してプロではない。立ち会いは権利だ。上司に確認してほしい」と言い返しました。上司に確認した署員は「立ち会いを認めます。事前通知も再度します」と態度を一変させました。
 その後、会社で行われた3回の実地調査全てで、立ち会いを認めさせました。終盤は、調査場所を税務署内に移し、3回の調査が行われました。棚卸し原価や外注費での修正を指摘されましたが、Aさんは「うちの会社の現状は、何度も説明している通り。帳面付けも、しっかりしている。支払ったものは経費として認めてもらわないと困る」と毅然と主張。署員は「分かりました」とAさんの主張を認めました。
 調査の結果、消費税の課税・非課税の見解の相違で、少額修正となりました。法人税については、是認で終えることができました。Aさんは「帳面もあって、実際に支払った証拠もあったので、納得のいくまで主張できた。民商と一緒に税務調査に臨めることは、会員にとって本当に心強い」と笑顔で語っています。

立ち会いで是認勝ち取る
大阪・堺北民商の会員 問題行為を鋭く指摘

 大阪・堺北民商の坂本豊さん(仮名)=総合建築=は、昨年9月に発生した税務調査で、堺税務署が申告内容をそのまま認める完全な是認を勝ち取りました。
 実地調査は、無予告で署員3人が会社に突然押しかけました。当時、坂本さんは業務で不在だったため、応対した事務員が「社長は、どこに居ますか」「社長に電話をしてください」などと圧迫を受けました。後日、こうした対応を税務署に抗議した坂本さんに対し、署員は「やろうと思えば、できる」「違法ではない」と開き直りました。
 坂本さんは、無予告の件や納税者の権利侵害に対し、妥協することなく抗議し、謝罪を求め、税務署とのやり取りを続けました。「自主計算パンフレット」や事務局員から納税者の権利を学び、主張しました。
 その後、署員の態度が変化したのを機に、署員1人に限定して来社を認め、民商の坪孝光事務局長の立ち会いの上で、調査に臨みました。
 2日間、計10時間にわたる調査で、事前通知しなかった件や、署員らが国税庁の「税務運営方針」を十分理解していない問題などを指摘。帳簿の確認などを進めました。
 臨場調査は「何も問題ない」で終了。その数週間後の「もう一度帳簿を見せてほしい」という要求に対しても「すでに十分協力した。調査はこれで終わりです」ときっぱり拒否し、署員にも認めさせました。
 その結果、6月に、署員から「調査終了」と「是認」通知を送るとの電話が入り、調査は終了しました。
 坂本さんは「不当な調査をはね返し、最高の結果で終わりました。民商の仲間との自主計算・自主申告と、納税者の権利を守るたたかいで勝ち取った成果」と喜んでいます。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから