生活維持や事業継続に留意を
小泉進次郎・農水相が答弁

災害などにより農産物の販売収入が基準を下回った際に穴埋めする農業経営の収入保険は、差し押さえ禁止財産にすべき―。日本共産党の紙智子参院議員は6月10日、農林水産委員会で、収入保険に関わって質問しました。
紙議員は、埼玉・深谷民主商工会(民商)の高木直人さん(仮名)=農業=が、やむを得ず滞納した社会保険料340万円の一括納付として熊谷年金事務所が収入保険を差し押さえたことで、営農が困難になった事例を挙げました。
昨年の収入が著しく減少した高木さんは、収入保険を見込んで事業計画を立てていました。紙議員は、小泉進次郎農水相に「”社保倒産”になりかねないと相談が寄せられている。大臣から、差し押さえは控えるよう働き掛けていただきたい」と、ただしました。
小泉農水相は「国税徴収法では、衣服や食料など生活に最低限必要な財産や、農業関係では農機具や肥料、種子などの事業継続に不可欠な資材の現物については、差し押さえが禁止されているものの、収入保険の保険金については禁止されていない」と答弁。滞納者の生活維持や事業継続に与える影響に十分、留意した対応をすべきとの認識を示し、「農水省としても、農業者の事業継続などの観点から、社会保険料の徴収に当たっては、個々の事情を踏まえた丁寧な対応を期待したい」と回答しました。
紙議員は「生産者の営農を補償するためにも、収入保険の差し押さえは控えるということ、収入保険を差し押さえ禁止財産にするように財務省に働き掛けていただきたい」と重ねて求めました。
相談を寄せた高木さんは「国会で取り上げてもらえたことが、励みになります。社会保険料の強権的な徴収の是正につながってほしい」と話しています。
農業経営の収入保険
青色申告を行っている農業者(個人・法人)が加入できる保険。全ての農産物を対象として、自然災害や価格低下、農業者の経営努力では避けられない収入減少を幅広く補償する保険。保険期間の収入が基準収入の9割(5年間の青色申告実績がある場合の補償限度額の上限)を下回った場合に、下回った額の9割を上限として補填。営農を継続するセーフティーネットの役割を担っています。