トランプ政権言いなり 軍事費10兆円増を狙う
ジャーナリスト布施祐仁さん

「自らの国を自らの手で守る覚悟なき国を誰も助けてくれない。防衛力の抜本的強化を、これまで以上のスピード感で進めていかなければならない」―。
高市早苗首相は3月3日の衆議院予算委員会で、こう強調しました。日本政府は2022年の「安保3文書」策定以降、「防衛力の抜本的強化」と称して大幅な軍拡を進めてきました。
22年度は6兆円程度だった防衛省予算は、25年度は約9.5兆円と大きく膨らみました。これに海上保安庁予算やサイバーセキュリティーに関する予算など他省庁の安全保障に関連する予算を加えると、11兆円を超え、GDP(国内総生産)比で2%に迫ろうとしています。
台湾侵攻の抑止日本が担わされ
高市政権は、これ以上のスピード感で、さらなる大軍拡を進めようとしているのです。そのために、今年中に安保3文書を改定する方針です。大軍拡の背景にあるのは、米国の要求です。22年の安保3文書で軍事費をGDP比2%に引き上げる方針を決めたのも、米国の要求が背景にありました。トランプ政権は現在、すべての同盟国にGDP比3.5%水準の軍事費を求めています。
昨年12月にトランプ政権が公表した「国家安全保障戦略」という戦略文書では、中国による台湾侵攻の抑止・阻止がアジアにおける最優先課題だとし、そのために日本をはじめとする同盟国が軍事費を増額し、行動でもより大きな役割を担うべきだと強調しています。
高市政権は、こうした米国の要求に応えようとしているのです。GDP比3.5%は21兆円に相当します。つまり、今よりさらに10兆円も軍事費を増やすことになります。これだけ軍事費を増やして、何に使おうとしているのでしょうか。
特に重視しているのが、ミサイルとドローンの強化です。ウクライナおよびイランやその周辺での戦争がそうであるように、現代の戦争はミサイルとドローンの撃ち合いが中心です。台湾有事でも、ミサイルとドローンの撃ち合いを中国とすることが想定されています。それに負けないよう、大量のミサイルとドローンを取得しようとしています。敵に最も見つかりにくく、敵地に向かってミサイルを発射できる原子力潜水艦の保有も検討するとしています。
高市政権は兵器の生産基盤強化も重視しています。ウクライナのように戦争が長期化した場合、兵器の生産能力が命運を分けるからです。「危機管理投資」の一つの柱として位置付け、多額の国費を兵器産業に投資しようとしています。兵器産業を「儲かる産業」にするために、殺傷能力のあるものも含めて兵器の輸出規制を大幅に緩和しようとしています。
日本が中国のミサイル・ドローン攻撃を受けることを想定し、地下シェルターの整備も進める方針です。
こうした軍拡や戦争準備は、前述のとおり、米国が求める「中国による台湾侵攻の抑止・阻止」を主な目的としたものです。
しかし、台湾侵攻の抑止・阻止を、なぜ日本が担わなければならないのでしょうか。これは、「保持する防衛力は自衛のための必要最小限のものに限る」という「専守防衛」の原則に反します。台湾侵攻はあってはなりませんが、日本はあくまで外交によってその発生を防ぐ努力をすべきです。

日中関係は悪化 増税で負担増大
米国の言いなりになって台湾侵攻の抑止を目的とした軍拡を進めれば、日中関係はさらに悪化し、軍事的緊張も一層激化するでしょう。偶発的な軍事衝突の危険性も高まります。戦争にならなかったとしても、「防衛増税」などで国民の負担が増大し、暮らしが破壊される可能性が高いでしょう。
米国は日本を「戦争の道具」として最大限利用しようと考えています。イラン戦争に協力させるために中東への自衛隊派遣を要求しているのも、その一つです。日本の平和も、国民の暮らしも破壊する米国従属の政治のあり方を、今こそ見直すべきです。

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