ふくしまの今 廃炉と復興の現実|全国商工新聞

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「創造的復興」やめ「人間の復興」こそ
ふくしま復興共同センター代表委員 野木茂雄さん

廃炉の見通しは定かでないまま

 原発事故は、家族も、暮らしも、生業も、地域のコミュニティーも、あらゆるものを破壊し、取り返しのつかない被害を与えている―これが、今も続く福島の実態です。
 事故を起こした東京電力福島第1原発は、「廃炉作業の柱」とされる「溶け落ちた核燃料デブリの取り出し」が昨年、試験的に始まりました。しかし、総量880トンにのぼるデブリの本格的な取り出しは、2037年度以降へと大幅に先送りされました(図1)。ALPS処理水の海洋放出は、昨年8月で2年が経過し、放出量が約11万立方メートルになったの対し、同時期に発生した新たな汚染水が5万4千立方メートルとなり、実際に減少したのは放出量の半分にとどまっています。廃炉完了までに放出を終える保障はありません。事故を起こした原発の廃炉の見通しは立っておらず、政府・東電の「2051年までに廃炉を完了する」という廃炉計画は、見直し・延長が避けられません。
 15年が経過する今でも、住民が自由に出入りすることができない「帰還困難区域」が七つの市町村に広く残され、避難指示が出された12市町村だけでも、5万4千人が故郷に戻れず、居住者数は事故前の約3割です(図2)。地震・津波で亡くなられた方は1605人ですが、避難する中で亡くなられた関連死は現在も増え続け、2350人になっています。避難指示が解除された自治体や故郷に戻った住民も、通院や買い物、仕事など、日々の生活において、さまざまな苦労が続いています。漁業の再建は、懸命な努力が進められていますが、沿岸漁業の水揚げ量は事故前の27.8%です。

事故を起こさぬ保障は原発ゼロ

 原発事故被災地の「浜通り地方」の復興をめぐっては「創造的復興」として、「福島イノベーション・コースト構想」と、その中核を担う「福島国際研究教育機構」(F―REI)が国家プロジェクトとして推進され、多額の税金が投入されています。避難者、被災者の実態と願いに寄り添った「人間の復興」こそが求められています。
 今、高市政権は原発の「最大限活用」に突き進んでいます。このまま進めれば、日本のどこかで再び原発事故が起きる可能性は大きくなります。地震や津波が多い日本で、原発の運転を続けることは無謀です。原発事故は再び起こしてはなりません。その最大の保障は、原発をゼロにすることです。今年8月30日には、福島市で全国集会を開きます。引き続き、全国からのご支援をよろしくお願いします。

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