商売の困難が暮らし、健康に悪影響
今回は、業者婦人の生活や働き方、健康に着目。その実態から、政府の進める社会保障費の抑制政策や、国民年金と国民健康保険の制度の不備が、業者婦人の暮らしや健康に、どんな影響をもたらしているかを明らかにします。
営業所得だけでは生活苦しいが半数
家業の営業所得だけで生活できるかどうかでは、「生活できる」47・2%、「生活できない」47・0%でした。約半数が「生活できない」状況は一刻も早く改善しなくてはなりません。
「生活できない」と回答した人のうち、家業に携わる時間が「12時間以上」は51・4%で、「生活できる」人より4・7ポイント上回りました。業者婦人を取り巻く営業と暮らしの厳しさ、長時間労働が一層深刻になっています。家業に携わる時間が「4時間未満」では、「生活できない」が「生活できる」を上回りました。営業所得だけでは生活できないため、パートに出るなど、家業以外で収入を得る必要が生じ、家業による
営業所得の方が補助的になっていると考えられます。営業所得だけで生活できない場合、どう所得を補っているのか聞くと、「年金」34・6%、「貯金のとりくずし」30・0%、「他の家族の収入・援助」18・2%、「パート・アルバイト」13・0%と続きました。「年金」が最も高くなっていますが、公的年金はそもそも家計補助的なものではなく、この国で生活する上で最低限の所得保障がなされる仕組みです。ところが給付額が、あまりにも少なく、家計補助とみなされるような、低位な給付水準となっている実態が回答にも表れています。特に自営業者は、国民年金のみの加入が多く、中でも業者婦人は、強制加入ではなく任意加入期間が長かった人も多いため、保険料を納めた期間が短く、給付額も少ないのが現状です。
国保加入者が減少後期高齢医療増え
「国民健康保険料(国保)」の加入割合を経年変化で見ると、2012年は71・6%、19年は61・6%、今回(25年)が58・5%と、国保加入者の割合が減少していることが分かります。一方で、「協会けんぽ」は23・1%と増加傾向にあります。
国保加入者が減少している第1の理由は、政府が進めている被用者保険の適用拡大政策によるものです。第2の理由は、主に「団塊の世代」の業者婦人が後期高齢者医療制度に移行したことによるものです。本調査でも、後期高齢者医療制度加入者は12年1・6%、19年3・6%、25年10・7%と急激に増加していることが分かります。国保料・税の支払い状況は98%が納付。生活できないほど追い詰められていても、社会的責任を果たす中小業者の姿が見えます。
「暮らしと健康」分野の分析に当たった、佛教大学の長友薫輝准教授は「暮らしや健康のことは、共有しやすい課題の一つ。問題意識を出し合うことで、暮らしに関連して、税金や社会保険料負担の重さなどについても共通認識を図ることが可能となる。その上で、家計を圧迫している税や社会保険料負担の軽減策の必要性について、行政とともに検討し、改善策を講じていく必要がある」と指摘。社会保障費や公的医療費の抑制政策の背景を示し、その転換が必要なことを提起しています。
「負担の公平性」を”所得水準にかかわらず、同じ給付なら、定額負担を平等に求める”などと曲解することなく、応能負担の原則を堅持し、「保険あってサービスなし」の状況からの脱却が求められています。

体や心の不調訴え産休の取得も困難
体調が「よい」と答えた人は39・9%。「定期的に通院をしている人」が36・2%で、業者婦人の多くが体や心に何らかの不調を抱えながら働いています。病気・けがで休めなかったことが「ある」と回答した人は42・5%。休むことができなった理由として「代わりに仕事をする人がいない」73・1%、「忙しくて時間がない」30・6%、「収入がなくなるから」30・2%と続きました。小規模事業者にとって、休業の影響は甚大です。本人や家族の傷病による休業は、生活の困窮に直結します。生活を保障する恒常的な傷病手当が必要です。
産前は、5人に1人が休めなかったと答え、産後に8週間休めた割合は4割に届きません。労働基準法では出産前後の母体保護を目的として「産前6週間、産後8週間」は原則として就業させてはならないとしています。安心して子どもを産み育てていくためには、休業を補償する出産手当の給付が必要です。
健康診断の受診状況は、「年1回受診」60 ・9%、「2、3年に1回」12 ・6%、「3年以上受けていない」5・6%、「受けていない」も16 ・5%でした。婦人科検診は「未受診」が34 ・2%、「3年以上受けていない」が12 ・8%で、回答者の47 ・0%が未受診でした。「手遅れ」となる仲間を生まないよう、共済会の集団健診や自治体健診の活用を広げ、未受診の業者婦人へ働き掛けを強めることが重要です。

【国保に傷病・出産手当を】
公的医療保険には、傷病や出産など、収入が途絶える事態に際して「従前所得水準を維持」する理念があります。協会けんぽや一部の組合健保では、それに基づいて、傷病手当や出産手当を実施しています。全婦協は、加入する保険制度により、保険給付や免除制度が異なる事態は一刻も早く解消すべきとして「国民健康保険加入者に傷病手当・出産手当を給付する制度の確立」を求めています。
寄せられた「ひとこと」から
◎…国民年金の受け取り額が非常に少なく、生活できない。今はパートをしているが、いつまで続けられるか不安。(大阪・料理飲食・70歳以上)
◎…個人事業主は、社会保険の面で不利なことが多すぎる。今は何とか生活できても、老後のことを考えると、続けられない。(京都・卸・小売・40代)
◎…これから出産や育児を考えていますが、リース料などの固定経費を払い続けなければならず、所得保障がないと、安心して出産できません。(新潟・その他・39歳以下)

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