高市政権が火力・原発エネ推進 再エネ活用広げ、地域も豊かに|全国商工新聞

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 化石燃料に固執し、原発も推進する高市早苗政権のエネルギー政策で危機が広がっています。政府は化石燃料脱却を「詐欺」とののしるトランプ米大統領の横暴を容認し、日本ではアンモニアと石炭の混焼などにより石炭火力発電を延命させてきました。高市首相は総合経済対策で「柏崎刈羽原発の再稼働が重要」と明記しました。10月末のトランプ氏との会談でも対米投資枠のうち、原子力分野が最大で約30兆円の見込みとされました。米国内の原子炉建設に日本の原発メーカー大手の関与が検討されていると報じられています。対米追随と大企業優遇を進めて気候や放射能汚染の危機を招き、生存を脅かす政策は断じて許せません。
 温暖化対策や脱原発への取り組みとして、市民社会の力を生かした再生可能エネルギー(再エネ)の活用に期待が高まっています。環境省の調査結果によれば、日本の再エネの潜在力は、バイオマス発電を除いても、2040年の電力需要予測の4倍以上もあります。太陽光発電は、フィルム状や透明ガラス状の素材開発で、建築物の壁や窓でも可能となり、波力や潮力などの海洋エネルギーの実用化も注目されています。地熱や太陽熱、バイオマス熱も豊かで、
 再エネ優先政策と適切な普及策を採用すれば、可能性はさらに高まります。2030年までに、省エネと再エネで賄うエネルギー転換を実施すれば、年間254万人の雇用が新たに創出されるとの試算もあります。再エネ普及には、市民や自治体、団体などの協力・共同と政策転換が必要です。例えば、太陽光発電を持ち家から集合住宅に広げたり、耕作放棄地に普及すれば、空間の有効活用にも役立ちます。畜産の糞尿や成長の早い植物でのバイオガス生産と併せ、生ごみや農業廃棄物の活用も進めるべきです。
 原発で過酷事故が一度発生すると、最悪の環境破壊を引き起こします。福島県では「県内のエネルギー需要量の100%以上に相当する量のエネルギーを再エネで生み出す」とした目標への歩みを進めています。地域でのエネルギー自給を進め、市民社会として環境保全への社会的な制御を強めることが望まれます。

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