事業を営んでいる方の確定申告には、白色申告と青色申告の二つの申告方法があります。
白色申告が原則的な方法です。青色申告で申告したい場合には、税務署長などへ届け出を行い、承認を受けると青色申告ができるようになります。青色申告が「できる」規定となっていることからも原則は白色だということが分かります。
電子帳簿保存法との関係で、白色申告を選択する納税者がますます増えていくことが予想されています(詳しくは次回解説します)。
なお、青色申告が「できる」規定であることから、取り下げの届け出をしなくても、白色申告で申告することができます。
国税当局や、これに追随する会計ソフト会社は「記帳の水準を高めるため」とうたって青色申告を推進していますが、青色申告の「特典」という”わずかな見返り”で誘い出し、これに食い付いた納税者に対して”楽に税務調査をしたい”というのが狙いです。
青色申告の特典として、家族従業者への給与が届出額において経費と認められる青色専従者控除制度や、青色申告特別控除制度が用意されています(図1)。
国税庁は小規模事業者への記帳義務あるいは記帳レベルについて、御用学者などを通じて多くの要望を納税者に求めています。
ただし、これらについて過度に恐れる必要はありません。青色申告は、先に書いた特典と呼ばれるものがあるため、一定レベルの「帳簿」を作成し、保存しておく必要があります。ところで、記帳とは事業者ごと、業種ごとなど多種多様であり、これらは公正な会計基準として尊重されます。記帳が不十分という理由で青色申告承認が取り消されるというケースは、近年では見当たりません。
白色申告では、帳簿が無いことに対する罰則は設けられておらず、「努力義務」に過ぎません。帳簿を強制できないとの趣旨は、憲法13条の「すべて国民は、個人として尊重される」、いわゆる自己決定権の精神に合致しており、これが所得税の原則的な考えとなっています。
国民全員が対象となり得る所得税の法規範は、憲法の精神が根付いています。国の主役である納税者が所得税法などをしっかり学ぶことにより、強権的な税務調査をはね返すことができます。
税務署員の中には、青色申告で申告書を提出しないことに疑問を持つ者も少なくありませんが、法的根拠は一切ありません。白色申告者が備える強固な自己決定権を発揮して、確定申告書の作成に臨みましょう。

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