排ガス規制の影響で 50㏄原付が生産終了|全国商工新聞

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 「配達用の原付バイクが使えなくなる?」―。11月から排出ガス規制の新基準が適用され、規制をクリアするのが難しい排気量50㏄以下の原動機付自転車(原付バイク)の生産が10月末で終了となりました。庶民の移動の足だけでなく、新聞配達や出前など民主商工会(民商)会員ら“中小業者の営業車”としても活躍してきた原付バイクの今後は、どうなるのでしょうか。

中小業者への影響は?

原付一種バイク
大石秀之さん

 これまで、原付免許で運転できていた排気量50㏄以下のバイク(原付一種)が買えなくなることから、政府は4月に法改正し、「新基準原付」を追加しました。「新基準原付」は排気量50㏄超125㏄以下で、最高出力を4.0キロワット(5.4馬力)以下に制御した車両で、これまで同様に原付免許で運転が可能な車両です。排気量は上がりますが、制限速度は原付一種と同様30キロで、二人乗りは禁止。片側3車線以上の交差点では二段階右折が義務付けられています。新基準に該当しない原付二種(既存の50㏄超125㏄以下の二輪車)の運転には普通二輪免許(小型限定)が必要です。
 それでは、これまで使用していた50㏄以下のバイクは公道を走行できなくなるのでしょうか。
 結論から言えば、「道路運送車両の保安基準」を満たし、ナンバープレートを取得し、自賠責保険に加入していれば、走行は可能です。排出ガス規制の新基準は2025年11月1日以降に生産されるモデルに適用されるため、それ以前に生産された車両は適用外となるためです。
 営業用として利用していた原付バイクは、そのまま使用できます。故障などで買い替える場合は、中古の原付バイクか「新基準原付」、もしくは電動バイクが選択肢になります。
 静岡・小笠掛川民商会長で、掛川市内で「(有)大石自動車」を営む大石秀之さんは、今回の生産終了について「お客から『最後に1台欲しい』と言われたけど、どこを探しても無かった。つてを頼って調達したが、金額は定価以上にハネ上がっている」と話します。新基準の原付バイクについては「従来の原付よりボディーが大きく、乗るのが怖いという女性もいる。海外で生産し、輸入するので金額も上がる。コンピューター制御で馬力を無理やり下げているが、簡単に違法改造できるんじゃないか…」と懸念します。今後について「営業用は郵便局が使っているような電動にするか、古い物を直していく感じになるんじゃないか。地域の整備工場としては、お客さんの旧原付バイクが長持ちするよう、丁寧な点検・修理をしていくことになるかな」と見通しを語りました。

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