被爆・終戦から80年の原水爆禁止2025年世界大会が、広島と長崎で延べ1万3千人以上、海外代表ら15カ国222人の参加で大きく成功しました。世界大会で海外代表から発せられたのは、核兵器使用の危険が迫ることへの危機感、軍事費の増大が市民の暮らしを圧迫し、格差と貧困が拡大する現状への警告でした。
先の参院選では、東京選挙区で当選した参政党の「さや」(塩入清香)氏が「核武装が最も安上がり」と公言し、筆舌に尽くし難い体験をした「被爆者に言えるのか」と多くの批判の声が上がりました。許し難い発言であり、唯一の戦争被爆国の議員としての資質に欠けていると言わざるを得ません。
そもそも、核兵器には莫大な費用がかかり、ミサイル開発などで軍事費はさらに増大します。ノーベル平和賞の受賞団体「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の推計によれば、核兵器保有9カ国の24年度核兵器関連支出は1002億ドル(約14兆4千億円)で、前年比11%増となっています。ストックホルム国際平和研究所の調査では、世界の軍事費は2兆7180億ドル(約390兆円)であり、ロシアの脅威や中東情勢の悪化を背景に前年比9・4%増、過去最高額だったと発表されました。軍事費の国内総生産(GDP)比5%を決議した北大西洋条約機構(NATO)の国々では、この膨大な予算を暮らしに使うべきとの議論も始まっています。
日本はどうでしょうか。5年間で43兆円の大軍拡は3年目に入りました。来年度「防衛予算」の概算要求は8・8兆円の見通しで、後年度負担(つけ払い)を含めると、すでに5年間で60兆円の大軍拡です。その影響は暮らしを直撃しています。子どもの7人に1人が貧困状態にあり、社会保障費の削減で医療機関や介護事業所の休廃業が相次ぎ、増税や社会保険料、国民健康保険料・税の値上げなどで、国民の可処分所得は減り続けています。軍拡の応酬では平和は守れません。日本政府は人類を危険にさらす「核抑止」論から決別し、核兵器廃絶の先頭に立つべきです。世界中で連帯し「軍事費を削って、暮らしと福祉・教育の充実を」の声を広げましょう。