終わりの見えない物価高騰に、コメ不足と米価の高止まり…。経営環境が困難な今だからこそ「集まって、話し合おう」と、各地の民主商工会(民商)は、会員の関心にかみ合った学習会に取り組んでいます。
価格転嫁の状況を交流 京都・上京民商

「本当は250円にしたかったけど、230円で我慢した」「値上げしているが、人件費の上昇分には届かない」―。価格転嫁のポイントを考えようと、京都・上京民主商工会(民商)は6月19日、「価格転嫁学習会」を開き、9人が参加しました。全商連付属・中小商工業研究所の「中小商工業研究」第163号(2025年4月)で紹介された、とび工事と洋菓子店の会員の体験談を基に①自店の強みを把握し、取引相手にとってのメリットを示す②原価を把握し、値上げの根拠を示す③コスト増に関するデータを集めて相手に示す―などのポイントを学びました。商工新聞6月23日号2面に掲載された「改正下請法が成立全商連の政策提案が生きる」という記事も紹介。主な改正点として「協議を適切に行わない代金額の決定の禁止(価格据え置き取引への対応)」が、来年1月1日から施行されることも報告されました。
参加者同士の経験交流では「200円の商品を250円にしたかったけど、230円の値上げで我慢している」(小売り)、「取引先に、原材料が上がっている分の値上げをお願いした」(繊維製造)、「うちも値上げはしているが、人件費の上昇分には、届かない」(サービス)など、さまざまな業種の会員が、商品や下請け単価の値上げに努力している様子が語られました。「コーヒー豆の価格高騰が激しい。レギュラーコーヒーの粉が330グラムから300グラム、280グラム、250グラム…と内容量がどんどん減っている上に、価格も上がっている」など、世間の様子も話題になりました。
しかし、呉服店の会員は「うちは、値上げできへんわ」。業界全体が厳しく、単価も大きいだけに、値上げしにくい現状があることが報告されました。
国の責任で、適切な価格転嫁ができる営業環境を整えること、消費税の5%への一律減税で国民・中小業者の負担を減らす必要があることを話し合いました。
参加者からは「まだまだ得意先に値上げを求めなあかんし、下請けさんの工賃アップも考えなあかん状況なので、今日の学習会は参考になりました」(繊維製造)などの感想が寄せられました。
コメ不足は農政の失敗 東京都内4民商

「『トランプ関税』による自動車業界への圧力回避のために、主食のコメを差し出すなんて、許せない」―。東京・北区、板橋、練馬、豊島文京の4民主商工会(民商)は6月27日、北区の赤羽会館で「おコメ問題緊急学習会」を開催し、6人が参加しました。
「おコメが高くて大変」「何で急に高くなったの?」「小泉進次郎農水相が『アメリカ米を増やす』って言ってるけど、それってアリ?」…。北区民商では、役員会や料飲部会などで、最近のコメ事情に関する疑問が多く出されていました。4民商の合同会議で、それぞれ似たような状況にあることが分かり、緊急に学習会を開催することに。
講師は、農民運動全国連合会(農民連)の顧問、横山昭三さんにお願いしました。
横山さんは冒頭、「コメ不足の元凶は、自民党農政にある」と喝破。価格の高騰については「昨年の夏以降にコメが足りなくなるのは、早くから分っていた。農民連は昨年6月、政府に備蓄米の放出を要請。国会でも、紙智子参院議員(共産)に取り上げてもらったが、坂本哲士農水相(当時)は『需給は逼迫していない。新米が出れば回復する』と拒んできた。その結果、現場の実態を知る流通業者が一斉に”先買い”でコメ確保に動いたため、価格が高騰した」と解説しました。
コメ不足の原因について「政府による減反政策が続く中、新型コロナの自粛生活や外食産業の一斉休業など、特異な事情で需要が減少したのに、それを基に減反をさらに農家に押し付けたのが最大の誤りだ。だから、コロナ禍以降の外食産業の回復やインバウンド(訪日外国人客)増加による需要に見合う供給量が確保できなくなった。今頃になって、小泉農水相がヒーロー気取りで備蓄米を放出しているが、コメ不足や価格高騰の元凶が自民党農政にあったことを国民に謝るべきだ」と解説すると、一同大いに、うなずいていました。
「財務省は、価格高騰が続くコメの安定供給に向けて『輸入米の機動的な活用』、つまり主食用米の輸入枠拡大を提言した。政府は、トランプ米大統領との関税交渉で、自動車産業への圧力を回避するため、コメ・農産物を差し出そうとしている。しかし、コメは日本人の主食だ。農家に支援して国産米を増産するのか、輸入米で穴埋めするのか。よく考えていきましょう」と結びました。
各民商は今後、学んだ内容を役員や会員に広め、間違いだらけのコメ政策の転換を求める世論と運動を強めていこうと話し合っています。