中小企業と大企業の共存を探求 韓国の制度と実践学ぶ 全中連業界懇談会|全国商工新聞

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オンライン併用で全国32カ所から視聴された全中連の業界懇談会

 全国商工団体連合会(全商連)も加盟する全国中小業者団体連絡会(全中連)は5月16日、全商連会館で「2025年業界懇談会」をオンライン併用で開催。韓国の「大・中・小企業農漁業協力財団相生取引本部」のイ・ミョンホン本部長が、韓国の中小企業保護と大企業との共存施策について講演しました。会場には9団体から21人が参加し、全国32カ所で視聴されました。
 全中連の牧伸人事務局長が開会あいさつ。「厳しい経営環境の下、中小業者の経営に役立てられるよう、積極的な意見交換を」と呼び掛けました。
 イ本部長は「サムスン、LG、現代、SKの4大グループの売り上げがGDPの4割を超え、格差が拡大する下で、2004 年に二極化の解消を目的とする相生協力法が成立し、設立された」と同財団設立の経緯を説明。2010年には大企業と中小企業の相互成長・発展をめざし、大企業代表10人、中小企業代表10人、公益代表9人の体制で同伴成長委員会を設け、日本の近江商人の「三方良し」(売り手良し、買い手良し、世間良し)の理念を実現するため、官・民の取り組みの評価などを行っています。
 イ本部長は、固有業種に関する大企業の無分別な進出を規制する「中小企業適合業種制度」と、原材料価格の変動に連動して納品代金を変動させる「納品代金連動制」を紹介しました。
 適合業種制度について「韓国では小規模事業者が増加しており、適合業種に指定することで、生業型業種への大企業の参入を規制したり、競争力強化への支援をしている」と述べ、「WTO(世界貿易機関)協定違反とならないよう、政府から独立した同伴委員会が実施状況などを調査し、運用を調整している」と解説しました。
 納品代金連動制とは「委託企業と受託企業が契約の際に、納品代金連動に関する事項を約定に記載し、代金を調整する」もので、一方的に拒否した場合には罰則があり、原材料の価格転嫁を促進するものです。イ本部長は「現状では、労務費は対象外だが、エネルギー価格の上昇分も含めるなどの要望が出されており、検討している」と話しました。
 全中連代表幹事で、全国保険医団体連合会の森本主税副会長は「相生協力と同伴成長という、大企業と中小企業が連携し、成長していくという考え方は素晴らしい」と締めくくりました。

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