全国業者婦人の実態調査2022年(2)中小業者と消費税|全国商工新聞

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小規模ほど転嫁できず、経営圧迫

 消費税の8%と10%への増税は、消費需要を低迷させ、中小業者の営業基盤は危機的な局面に差し掛かっています。
 消費税を販売価格に「きちんと転嫁できている」は33.6%、「ほぼ転嫁できている」22.2%を合わせても55.8%でした。「一部しか転嫁できていない」12.5%、「まったく転嫁できていない」15.1%を合わせて、3割近い業者は消費税を自己負担しています。また、事業規模が小さくなるほど、消費税が転嫁ができず、経営を圧迫しています(グラフ)。

 業種別では、「きちんと転嫁できている」は「料理飲食」で15.9%と、全体平均の33.6%と比べて著しく低くなっています。転嫁状況が平均より低い業種は「宿泊」20%、「不動産」21%、「生活関連サービス」「医療・福祉」が共に27・4%と続きます。これらは、コロナ不況と消費税の打撃を二重に受けている業種といえます。
 全体では56・6%が課税事業者です。「法人」87.2%、「個人の白色」35.1%、「個人の青色」61.5%が課税事業者でした。
 課税事業者の多い業種は「建設関連」68.1%をトップに「運送」60.5%、「製造・販売」56.7%、「卸・小売」56.3%、「下請け・加工」51%と続き、大手企業相手の取引の多い業種が顕著です。
 個人との取引・サービスが主流の「宿泊」「料理飲食」「生活関連サービス」「不動産」「医療・福祉」では、課税事業者は3割程度にとどまっています。
 課税事業者の消費税納付状況は「全額納めている」85%、「一括では払えず分納」11.9%と、96.9%が全額を納めています。3割の業者が「転嫁できていない」状況を照らし合わせると、貯金や生活を切り詰め、何とか納税している姿がうかがえます。
 インボイス制度の導入は「中
止すべき」51.8%、「よく分からない」30.3%、「対応できない」3.5%、「やむを得ない」2.6%でした。しかし、インボイス制度の導入が及ぼす営業や業界への影響が「ある」と回答した業者が27.5%に対し、「わからない」が52%と過半数に及んでいることからも、インボイス制度の学習を一層強める必要があります。

「ひとこと」から

◎…決算時一番大変なのが消費税です。これがなくなれば、事務上も、お客さんも、楽になります。社会保障に使われるのでもなく、どこに行ってしまっているのでしょうか?(長野・建設関連)
◎…「インボイスが導入されたら、課税事業者になってほしい」と取引先から言われている。1千万円に満たない売り上げで、30万円、40万円という多大な税金は払えない(埼玉・建設関連)
◎…消費税は、本当に支払いが大変です。毎月、確保が難しく、支払いは、いつもギリギリです。何のために1年働いたのか…(大阪・建設関連)
◎…物価が上がり、今のままでは生活ができません。せめて5%に戻してほしい。軍事費を上げるために消費税を上げるのは、絶対やめてほしい(和歌山・建設関連)
◎…燃料費が高くなり困っています。国、県の補助を希望します(愛媛・その他)
◎…消費税が正しく使われているのか?公表するべき。国民の立場になって考えてほしい。何年も景気が悪いのに、10%取るのは国民の負担が増すばかり(熊本・製造販売)


 >> 全国業者婦人の実態調査2022年(3)自営業の女性の健康・医療と社会保険制度、労働と生活

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