確定申告のワンポイントアドバイス(9)配偶者(特別)控除と、ひとり親控除|全国商工新聞

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 今回は所得控除のうち、配偶者控除と配偶者特別控除、ひとり親控除について説明します。
 配偶者控除は、働いていない配偶者がいる場合に、「家族単位で最低生活費を保障する」などの趣旨で、1961年に扶養控除から独立する形で創設されました。控除額は原則38万円です。基礎控除や扶養控除と並び、生存権を規定する憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障する制度の一つですが、それにしては控除額が少額と言えます。
 配偶者控除を受けられる条件は、①生計を一にしている②配偶者の合計所得が48万円以下―です。配偶者の所得が給与所得のみの場合、給与所得控除の最低額55万円と基礎控除額48万円を足した103万円までが、配偶者控除の対象となるか否かの境目となります。世間でいわれる「103万円の壁」とは、このことです。
 合計所得が48万円を超えた時点で、控除額がゼロになることを避けるために、合計所得133万円以下までは、配偶者の所得金額に応じて、段階的に配偶者特別控除を受けることができます(表1)。

 昨今、同性パートナーや夫婦別姓を求める男女を背景に事実婚が増えているようですが、最高裁判所97(平成9)年9月9日判決は、婚姻の届け出をしていない者に対する配偶者(特別)控除を認めませんでした。パートナーシップ制度や事実婚といった多様な家族形態は今後も増加していくことが予想されますので、税法でも、より柔軟な対応が必要となってきます。
 次に、ひとり親控除です。未婚のひとり親は寡婦控除が適用できなかったところを、婚姻暦の有無による不公平を解消する等の趣旨で、2020年に寡婦控除から独立する形で創設されました。ひとり親控除を受けられる条件は、①本人が婚姻をしていない、または配偶者の生死が明らかではない②生計を一にする子を有している(他の者の同一生計配偶者または扶養親族となっていない子で総所得48万円以下)③合計所得が500万円以下④事実上婚姻関係と認められる人がいない―の全てに該当することです。ひとり親控除と寡婦控除の控除額については表2をご覧ください。

 最後に、年間850万円を超える給与収入がある人や給与収入と年金収入の両方がある人は、所得金額調整控除(最大25万円)の適用を検討する必要があります。最寄りの民主商工会(民商)に相談してみてください。


 >> 確定申告のワンポイントアドバイス(10)寄附金控除

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