業者の声を行政に届け 臨交金で支援策拡充を|全国商工新聞

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 「固定費も仕入れも高騰する中、直接支援を考えてほしい」「実態把握が甘く、業者の声を届けることが必要」―。各地の民主商工会(民商)や県商工団体連合会(県連)は自治体要請を行い、政府が1兆円の予算を組んで創設した「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分)」(臨交金)で、使い勝手の良い支援制度の創設や改善を迫っています。

県支援金の要件緩和を 群馬県連の要請に 県「柔軟に対応する」

中小業者の実態を伝え、支援を要請した群馬県連と県の懇談会

 群馬県連は7月21日、円安、物価高騰が中小業者の経営を直撃する中、地域経済を担う中小業者の現状と地域振興について県産業経済部との懇談会を行いました。県連から萩原誠会長=精密計測機器=はじめ8人が参加。大久保聡部長らが応対しました。
 萩原会長が「地域で商売をすることは社会貢献との思いで頑張っているがコロナ禍に加え、品不足、価格高騰で、ものを作りたくても作れない」と営業継続の瀬戸際に立たされている状況を説明。「自治体が本来の役割を果たしてほしい。中小企業基本法や県の振興条例にのっとった実効ある施策が必要」と県の姿勢をただしました。
 大久保部長は「感染が急拡大し、社会・経済をどう回していくのかが課題。加えて円安がどう影響するか心配。商工団体の皆さんを含め、さまざまなチャンネルから実態や情報を得たい」と述べ、「世の中ではデジタル化が進んでいるが中小業者は難しい。景気の波がある中で、中小業者の存在や事業継承を位置付けていきたい」と足下の経済対策にしっかり取り組むと表明しました。
 奈良民男副会長=製缶溶接=は「コロナで止まっていた計画が動き出している」と回復の兆しが見えるものの「反面で部材の調達が遅れ、価格も高騰している」と窮状を訴えました。廣田昭央副会長=金属加工組立=は「中小業者が展望を持って仕事ができる環境をつくってほしい」、中山誠二副会長=ピアノ調律=が「消費税5%への減税、インボイス制度の実施中止を国に働き掛けてほしい」と要請しました。
 懇談会後、萩原会長は「全体としては聞く耳を持っていると感じたが、業者の立場に立っていないし、業者の実態把握が甘い。業者の声をもっと届けることが必要だ」と語っていました。
 懇談会に先立ち、国の臨交金を財源にした「新ぐんまチャレンジ支援金」(表、申請は1日~12月16日まで。事業費20億8300万円)についての説明を受けました。
 制度が複雑なことから参加者は、「要件の緩和と利用しやすい制度への改善」を求めました。産業経済支援室長は「とにかく柔軟に対応するので申請してほしい」と答え、個別案件についても従来通り、県連が窓口になることを確認しました。

融資でなく直接支援を 大分民商 大分市に要請

中小業者への直接支援などを訴えた大分民商の大分市への要請

 大分民商は7月4日、大分市に「新型コロナウイルス感染症に伴う中小業者に対しての直接補助」と「消費税減税とインボイス制度の実施中止」について要請を実施。大分県連の木村鉄男会長=建築塗装=をはじめ7人が参加し、福間健治市議、斉藤由美子市議、堤栄三県議(いずれも共産)も同席しました。
 居酒屋を営むKさんは「自分たちは、まだいろいろな方法で生き残りを図ることができるけれど、年配で商売をされている方は本当に困っている。どうにかしてあげてほしい」、レストランを営むMさんは、「中心部でイベントをするのはいいが、その分、郊外店は苦しくなっている。固定費も仕入れも高騰している中で、直接補助を考えてほしい」など、コロナ禍と物価高騰に苦しむ中小業者の切実な要望を伝えました。
 市商工労政課からは利子補給制度などの金融対策や、すでに完売したプレミアム商品券の話などにとどまりました。
 井上昌雄副会長=内装=は「融資は返さないといけない。融資を受けることができない人たちが困っている。公平とは思えない」と訴えました。県内では玖珠町で直接支援に踏み出していることなどを伝え、あらためて直接支援の実施を求めました。
 民商ではこの間、市商工労政課と3カ月に一度の頻度で懇談し、市内の飲食店の状況や建設業者の資材高騰や資材不足の状況を伝えてきました。全国商工団体連合会(全商連)が17日に開催する「物価高騰・自治体対策ウェブ交流会」にも参加し、引き続き、自治体要請の強化と、中小業者の要求を反映した制度の実施・改善を迫っていくことにしています。

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