全国商工新聞

各種補助が終了 資金繰りに懸念

 中小企業・小規模事業者は、コロナ禍と原材料価格等の高騰や部材調達難、さらに円安という三重苦に見舞われています。
 「白書」も述べるように企業倒産が少ないのは、コロナで売り上げが減少した企業を支援する特別貸付(ゼロゼロ融資)をはじめ各種補助制度が講じられてきたためです。「業種別に見た、借入金月商倍率の推移」(図)によると、サービス業の同倍率は5.8倍で危険な状態にあります(借入金月商倍率=借入金÷平均月商。例えば、小売業では6.0倍が危険とされる)。2022年は、ゼロゼロ融資の元金返済が本格化します。

 3月には全国で、まん延防止等重点措置が解除されたものの、コロナ以前の水準回復には至っていません。各種の協力金、支援金も終了しています。
 そのような中で返済が始まり、ウクライナ侵略を契機とする燃料価格の高止まりや原材料価格の高騰、20年ぶりの急速な円安の進行で、コスト増大が収益を圧迫しています。8割が価格転嫁できていないとする中で、今後の資金繰りが懸念されます。
 こうした状況で「白書」は、打開策を、自己変革や事業再構築を通じて生産性を高めることに求めます。「生産性理論」(デービッド・アトキンソン理論)に基づく、中小企業の整理・淘汰策にほかなりません。
 いま行うべきは、コロナで痛んだ企業の事業継続を支援することや当面の危機脱出への直接支援です。アメリカや中国経済圏などの外需への依存、原料・燃料・部品・食料のサプライチェーンの脆弱性などの弱点を克服し、持続可能なローカル循環型の経済構造への転換を図ることです。
 しかし、残念ながら「白書」には、パラダイムチェンジへの決意や方向性を、うかがうことはできません。
 政府の「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」は、原油価格高騰対策(1兆5千億円程度)が中心で、「化石燃料の消費が減らず、省エネや脱炭素の取り組みにブレーキをかけかねない」との批判の声が上がるのも当然です。

直接支援継続し消費税の減税を

 中小企業の6~8割が、仕入れ値の上昇分を販売価格に転嫁できていない状況や、コロナ禍の収束が見通せない現状を踏まえるなら、「直接支援」の継続や消費税5%への減税など、底上げの景気対策が求められます。
 小規模事業者が、まだ使いこなせていないデジタル活用や事業革新などへの支援は、リハビリ期を終えてからの次のステップでの課題となるのではないでしょうか。

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