国会内アクション 132カ所からオンライン参加 党派超え「インボイスは絶対中止」 参院選の重大争点へ|全国商工新聞

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インボイス制度の実施中止を呼び掛けた国会内アクション

 「インボイス制度は実施中止・廃止に!国会内アクション」が4月22日、衆院第2議員会館で開かれ約100人が参加。全国132カ所からオンライン参加がありました。税理士やイラストレーター、アニメーターなど幅広い個人と全国商工団体連合会(全商連)をはじめ全労連、保団連、農民連、東京土建、劇団銅鑼などの団体が呼び掛けたもの。
 田村貴昭(共産)、末松義規(立憲)の両衆院議員があいさつに駆け付け、自民党、れいわ新選組、社民党などの秘書も参加。
 公認会計士・税理士の森井じゅんさんが「インボイス制度はもっての外」をテーマに講演し、「インボイス制度は新たな増税策であり、“消費税は預かり金”という誤った刷り込みを『既成事実化』するもの」と批判しました。
 まとめで、全商連の中山眞常任理事が行動提起。「①インボイス制度実施中止の宣伝と発信、学習を強める②署名をさらに広げ、「国会で審議して、政治の決断で実施中止を」の声を、国会議員に届ける③首相と財務相にインボイス制度実施中止の声を直接届ける行動を開始する」ことを呼び掛けました。

各階層で意見交流 負担押し付け許さない

 国会内アクションの「意見交流」では、各階層から怒りの声とともに、インボイスを巡る動きや具体的な影響が報告されました。

「イラストレーター歴40年で最大の危機に立たされている」と訴えるワタナベ・コウさん

 ジャーナリストの斎藤貴男さんは「消費税は中小業者に一方的に負担を押し付けるもの。国は、中小業者つぶし政策の総仕上げとしてインボイス制度を導入しようとしている。こんな制度のために生活が破壊されることは許されない」と訴えました。
 「イラストレーター歴40年で、最大の危機に立たされている」と切り出したのは、ワタナベ・コウさん。「免税事業者のままでは仕事が来ない。課税事業者になれば、生活費を削って消費税を納めなければならない。消費税は廃止、インボイス制度の実施は絶対中止に」と訴えました。
 元静岡大学教授の湖東京至税理士は「自民党議員もインボイス制度の問題を国会で取り上げている。立憲民主党から提出された廃止法案を国会で審議させ、最低でも継続審議にして次の国会につなげることが必要」と強調。
 日本出版者協議会の水野久会長は「取次店からインボイス発行事業者になるかどうかのお尋ね文書が届いている。出版社は厳しい状況の中で、インボイス制度が実施されれば、消費税の負担と手間が増える。強く反対しよう」と呼び掛けました。
 軽貨物やダンプ労働者を組織する、建交労軽貨物ユニオンの高橋英晴代表は「500万円の売り上げで課税事業者になると、25万円ほどの消費税を負担しなければない」と告発。「今、必要なのは消費税の減税だ。夏の参院選で、消費税減税やインボイス制度中止・廃止を争点に押し上げよう」
 東京土建一般労働組合の書記局員・山本高明さんは「一人親方に対して、消費税分として払ってきた1万5千円を3月31日に終了し、インボイス発行事業者への登録者のみに継続して支払うとのお知らせが届いている。6月に大集会を開き、実施中止に向けて運動を強めたい」と決意を述べました。
 東京税経新人会会長の奥津年弘税理士は「顧客の中小企業の皆さんは、インボイス制度の対応に悩んでいる。これは政治の力で解決しなければならない。インボイス制度を中止・廃止させ、国民本位の経済に転換させよう」と呼び掛けました。

国会議員100人超に要請 中小業者の苦境訴え

 「インボイス制度は実施中止・廃止に!国会内アクション」に合わせて、参加者は地元も含め、国会議員100人以上に要請。コロナ禍と原材料高騰にあえぐ中小業者の苦境を訴え、インボイス実施中止請願署名の紹介議員になるよう求めました。

【千葉県連】戻らない客足 部品も入らず

インボイス中止を要請する鈴木正彦副会長(左)

 千葉県連は、鈴木正彦副会長=電気工事=ら7人が県選出の国会議員29人を訪問。全商連緊急アンケートなどで業者の実態を伝え、消費税引き下げとインボイス中止を求めました。
 鈴木副会長は「飲食店はコロナが収まっても、客は戻らず、原材料が高騰しても質は落とせないから、自分の生活の質を落とすしかない。建設業者は海外から部品が入らず、1年間で1軒も家を建てていないと言っている。支援金などでつないできたが、この先が不安だ」との仲間の声を紹介し、インボイス中止と中小業者支援を求めました。
 立憲民主党の田嶋要、谷田川元の両議員秘書は「中小業者の声を受け取りました」「私たちが出している法案ですから、廃止できるよう頑張ります」と回答。
 日本共産党委員長の志位和夫衆院議員の秘書は「国会で何度も取り上げているが、業者の声を率直に伝えることが大事だ。消費税引き下げが、商売や暮らしを守る特効薬になる」と述べ、インボイス中止に全力を尽くすと表明しました。
 自民党の猪口邦子議員は自ら要請書を受け取りましたが、自身の考えは表明しませんでした。
 鈴木副会長は、この日までに議員5人の地元事務所を訪ね、「政治の決断でインボイス制度は実施中止・廃止に」緊急要請書を届けました。

【愛知県連】材料費が高騰経費もかさみ

中小業者の実態を伝える愛知県連の服部守延会長(中央)と長井美恵県婦協副会長(左)

 愛知県連の服部守延会長=フォーム印刷物、長井美恵県婦協副会長=建築板金工事=ら3人は午前中、県選出などの参院議員9人を訪問。応対した秘書に「板金屋で、屋根のといなどを手掛けている。材料費は、今までは売り上げの3分の1ほどだったが、資材高騰で半分以上を占めるようになった。ガソリン代や諸経費もかさみ、残るのは硬貨のみだ。同様に苦悩する仲間を代表し、国会に来た」などと訴え。「インボイス制度は“課税業者になり、消費税を払える人だけ助けてやる”と言われているようだ。消費税を負担できない業者は廃業に追い込まれるので、中止してほしい」と要請しました。
 立憲民主党の田島麻衣子、斎藤嘉隆の両議員室では「私たちもインボイスには反対です」、日本共産党の武田良介議員室は「国の経済を支えているのは、中小事業者だ。政府にきちんと説明を求めたい」と、署名を受け取りました。
 自民党の酒井康行、藤川政人の両議員室では「消費税増税もインボイス制度もしょうがないこと」と言い放ち、国民民主党の大塚耕平、伊藤孝恵、公明党の里見隆治、安江伸夫の各議員室は「専門ではないので分からない」「議員に伝えます」との回答に終始しました。

【福岡・八幡西民商】小規模業者が大増税になる

緒方林太郎衆院議員の秘書に署名を託す八幡西民商の坂井大会長(左)

 福岡・八幡西民商は、北九州市八幡西区の緒方林太郎衆院議員(無所属)の事務所を訪問。坂井大会長=保険代理店、宮崎達博・陣山支部長=電気設備設計=ら3人が、12団体94人分の署名を手渡しました。
 坂井会長は「インボイスが実施されれば、消費税の免税事業者だった小規模事業者らが大増税になる。中止の声を上げてほしい」と述べ、「この経済状況では消費税減税が営業や暮らしを守る一番の手立てだ。毎月、黒崎駅前で消費税引き下げの宣伝を行っているので、ぜひ参加してほしい」と呼び掛けました。
 応対した秘書は「インボイス制度の問題は知っています」と述べ、署名を受け取りました。

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