消費税を5%に 北海道内 8自治体で意見書採択|全国商工新聞

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北海道連 共闘広げて成果

 北海道では、松前町、豊富町、余市町、江差町、更別村、紋別市、訓子府町、剣淵町の8自治体の9月議会で「インボイス制度導入中止を求める意見書」が採択されました。北海道商工団体連合会(北海道連)が農民連や新日本婦人の会と連名で、道内の全179自治体に意見書を送付していたもの。9月28日時点で27自治体から返信があり、前出の自治体で採択されました。

民商・北海道連の代表が出席した札幌市財政市民委員会

 北海道連の石塚隆幸会長は「意見書を採択した議会はまだ少ないが、議会でインボイス制度が議論され、問題点が理解された結果だと思う。採択されて、うれしい」と喜びます。その一方、「自治体の事務局に話を聞くと、議員の理解があまり進んでいないという。まだまだ多くの人が内容を理解していない制度だと感じる。さらに問題点を知らせる運動を強めねば」と決意を表明しました。
 岩見沢市では北海道連の意見書は否決されましたが、地域のシルバー人材センターが提出した「シルバー人材センターに対する支援を求める意見書」は採択。インボイス制度が「導入されると、免税事業者であるセンターの会員はインボイスを発行することができないことから、センターは仕入税額控除ができなくなる」「センターにとって、新たな税負担はまさに運営上の死活問題であることから、会員や事務局に負担を強いるような事態を避け、センターにおいて安定的な事業運営が可能となる措置を強く求める」との訴えが認められました。
 北海道連は、社会保障推進協議会と共に立憲民主党道本部へ行き、政権交代による野党共通政策の実現をめざして懇談。その際も、消費税5%への引き下げとインボイス実施中止を訴えるなど、多くの団体と共闘し運動を広げています。石塚会長は「消費税を5%に引き下げ、複数税率の凍結とインボイスを中止させるため、総選挙で政治の転換を」と呼び掛けています。

北見民商が陳情 2自治体が採択
(紋別市)全事業者に影響、(訓子府町)地域経済が疲弊

 北海道・北見民主商工会(民商)の担当地域の2自治体=紋別市と訓子府町で、「インボイス制度導入中止を求める意見書」が採択されました。
 紋別市は9月15日、民商からの陳情を受け、採択。議会では「商工会議所も反対している。全事業者に影響を与える制度」として可決されました。
 訓子府町は9月16日、全会一致で採択。総務文教常任委員5人が提出者となり、「コロナ危機で景気回復が見通せない中で、インボイスが導入されれば、地域経済がさらに疲弊する。暮らしと経営、地域経済を守るために、インボイス制度の実施中止を求める」と提案されました。審議に参加した工藤弘喜町議(共産)は「民商にも協力してもらい、学習会をしてきたことで、農業者からも反対の声が上がった。これが採択につながったと思う」と述べ、中止させるまで、頑張ろうと話しています。

札幌市でも採択を 市内4民商 各会派に要請

各会派に意見書採択への協力を要請する札幌市内民商の代表ら

 札幌中部、西、北部、東部の札幌市内4民商は9月7日、札幌市に「適格請求書等保存方式(インボイス制度)延期を求める陳情書」を提出し、各民商から代表が参加しました。北海道連が提出した意見書と併せ、より採択されるようにと働き掛けたものです。
 陳情書を提出した後、札幌市議会の5会派を訪問し、協力を要請。どの会派も議員が不在だったため、事務局が応対しました。
 1日には、札幌中部、北部、東部の3民商と北海道連の代表が札幌市財政市民委員会に出席。札幌北部民商の大井川政典事務局長が趣旨説明を行いました。「免税事業者は、課税事業者になっても消費税を払えず、免税事業者のままだと売り上げの減少や取引排除となり、死活問題」「多くが免税事業者の小規模事業者も立派な市民。市民に不利益となるインボイス制度を中止・延期しなければ、地域経済に大きな被害を及ぼす」と、導入中止を強く求めました。
 日本共産党の池田由美市議と民主市民連合の竹内有美市議から賛同する質疑がありましたが、自民や公明の議員は「インボイスには、複数税率の仕分けができ、消費税の転嫁ができるメリットがある」と強弁。市の財政局職員は「インボイス導入に向けた設備導入に対する補助金や制度の説明など、国の支援が整っている」「消費税問題は、国政の場での議論」「実務負担は、そんなにない」などと反論し、継続審議となりました。
 民商は「今後、インボイス導入を懸念する業界団体と懇談を重ね、導入中止を求める運動をさらに広げよう」と話し合っています。

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