9月議会でインボイス制度の実施中止や延期を求める意見書 採択求めて各地で行動|全国商工新聞

全国商工新聞

 各地の9月議会では、民主商工会(民商)が提出した、消費税のインボイス制度(2023年10月から、仕入税額控除を行う際に原則として必要な適格請求書)の実施中止や延期を求める意見書の採択や議論が広がりました。

滋賀県野洲市 草津甲賀民商 会派訪問や学習重ね 議員も賛同広げ奮闘

草津甲賀民商では支部でインボイス学習会を開くなど、中止に向けて運動を強めています(写真は老上支部)

 滋賀県野洲市は9月17日、「消費税インボイス制度の実施中止を求める意見書」を賛成多数で可決しました。草津甲賀民商が意見書を提出していたもの。東近江市に次いで、滋賀県で2例目の意見書採択となりました。
 8月15日、大西秀治会長=電気工事=と青山敏之事務局長が各会派の代表を訪問。請願書と全国商工団体連合会作成の「廃止させよう!インボイス制度」チラシを持って、賛同を呼び掛けました。「一刻も早く採択するため、請願書ではなく、意見書を提出した方がいいのでは?」とのアドバイスを受け、すでに作成していた請願趣旨を基に意見書を作成(9月6日号既報)。
 8月25日、日本共産党の工藤義明議員が提出者になり、同党の議員2人、「暮らしと自治を考える会」の議員1人が賛成者に名を連ね、2021年度第3回野洲市議会定例会に意見書を提出しました。
 本会議直前まで賛成者数が足りていませんでしたが、工藤議員が「民商の皆さんが傍聴に駆け付けている。何とかしたい」と、採決までに他会派に賛同を呼び掛けるなど猛奮闘。その結果、賛成10、反対7で可決されました。
 民商では「署名と併せて各自治体から国に意見を上げ、インボイス実施中止・廃止の運動を広げることが重要」「中小業者が受ける影響を学ぼう」と、支部ごとに学習会を開催。「不安や怒りを総選挙に」「私たちの要求をかなえてくれる政党を選ぼう」と呼び掛けています。

長崎県佐世保市 佐世保民商 危機感を訴え 請願を提出 否決せず継続審査

インボイスの延期について話し合われた佐世保市議会総務委員会
総務委員会でインボイス延期を訴えた佐世保民商の川原冨士子副会長(右端)と民商の仲間たち

 長崎県佐世保市は、9月13日の定例会本会議で「消費税インボイス制度の実施延期を求める」請願を閉会中の継続審査とすることを議決しました。佐世保民商が同6日に提出していたもので、「従来は委員会で議論することなく否決されることが多かったが、議論もできて、今までとは違う雰囲気」と手応えを感じています。
 同6日の総務委員会には民商から7人が参加。冒頭、川原冨士子副会長=建設=が「請願書」を読み上げた後、参加者が趣旨説明しました。
 「インボイス制度は売上高1千万円以下の免税業者が課税事業者になることや廃業を迫られる」「国の政策で中小業者が廃業に追い込まれるようなことはあってはならない」「インボイスには多くの業者団体や税理士団体が延期や凍結、中止を表明している」「少なくともコロナ禍での実施は、やめてほしい」と中小業者が抱いている危機感を伝えました。
 議員から「どの程度の延期を求めているのか」「影響を受けるのは個人事業者か」「税制全体の中で、インボイスをどう考えているのか」などの質問が。「民商はインボイス制度の廃止を求めているが、少なくともコロナ禍で業者が大変な中で、制度が周知されてない下での実施は延期を」と訴えました。
 同13日の定例会では、総務委員会の橋之口裕太委員長が「インボイスについて、日本商工会議所や日本税理士会連合会からも同様の要望を受けている。もう少し調査した上で議論したい。委員会では、全会一致で閉会中の継続審査となった」と報告。本会議でも継続審査を議決しました。
 民商では「議員が請願を通じて、インボイスの危険性を受け止めた結果だ。引き続き、インボイスの問題点を広く知らせ、実施の延期・中止を実現したい」と意気込んでいます。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから