全国商工新聞

 全国商工団体連合会は5日、総選挙に当たって次の緊急要求を発表しました。

 新型コロナ禍によって、長く続いてきた新自由主義による政治の問題点が浮き彫りになっています。
 中小業者・国民の営業と暮らしが危機に直面する一方で、大企業や富裕層は内部留保や資産を激増させています。社会保障の削減と「自己責任」の強要によって、救える命さえ救えない事態に陥っています。緊急事態宣言が繰り返されているのに、中小業者への支援策は縮小され、届くべきところに届いていません。政府が進めるエネルギー政策やデジタル化にも重大な問題があります。
 税金の集め方と使い道や緊急切実な政策を決定する国会を開かない与党の姿勢に、立憲主義や民主主義のかけらもありません。学問や営業の自由を奪う強権政治、「政治とカネ」問題での説明責任放棄、平和を脅かす大軍拡と核兵器への固執にも国民・中小業者の危機意識が高まっています。
 きたる総選挙で、悪政に対する渦巻く怒りを投票行動に結実させることが重要です。民商・全商連は、「五つの緊急要求」を掲げ、政権交代を願うすべての有権者と力を合わせて選挙戦をたたかいます。

1、コロナ危機から中小業者を守る

 当初、半年間の固定費補助とされた持続化給付金や、家賃支援給付金は1回で打ち切られました。政府のコロナ特別貸付の利子補給期間は3年のままです。こうした対応は、明らかに「短期間でV字回復する」ことを前提に行われたものであり、抜本的な転換が必要です。
①直接支援の拡充
 持続化給付金、家賃支援給付金を再給付する。その際、当初の支給額を下限としつつ、規模や影響に見合う補償へと拡充し、給付対象の拡大や支給要件の緩和を行う。そのための予算と審査の権限を自治体に与え、事業実態に即した迅速かつ柔軟な申請・給付が行われる仕組みへと転換する。
②自治体による支援の充実
 自治体が行う協力金の要件を緩和し、速やかに支給できるようにすることが求められている。自治体の支援策拡充へ、地方創生臨時交付金のさらなる上積みを図る。
③資金繰り支援の強化
 資金繰りの悩みは切実さを増している。日本政策金融公庫が行う新型コロナウイルス感染症特別貸付は完全無利子とし、コロナ禍が収束するまで実施するとともに、据置期間の延長や追加融資への積極的対応を徹底する。

2、消費税凍結など負担軽減を図る

 「自粛に見合う補償」と同時に中小業者が負担する税と社会保険料の負担軽減も重要です。コロナ禍での経済対策として世界の62カ国・地域では付加価値税(消費税)の減税や納付の免除が行われています。こうした政策を見習うべきです。
①消費税の課税を凍結する
 消費税率を緊急に5%へ引き下げ、小規模事業者への課税を一時凍結することで、個人消費の喚起と事業者の負担軽減を図る。国・地方自治体が課す税金等の軽減に当たっては、直面する経営実態に即して判断し、免除措置を積極的に適用する。
②インボイス制度の実施を中止する
 小規模事業者に新たな消費税負担と実務負担を強いるとともに、コロナ禍の収束後も生き抜くことを困難にするインボイス制度の実施は中止し、廃止する。
③社会保険料負担を軽減する
 小規模企業振興基本法付帯決議を踏まえ、小規模事業者に対する社会保険料負担を引き下げる。コロナ禍で売り上げが減少している小規模事業者に対する、社会保険料事業主負担分の減免制度を創設する。
④国保料・税の負担を引き下げる
 国保料・税の均等割と平等割を廃止すれば、40歳代夫婦と子ども2人世帯の全国平均で18万円軽減できる。そのために国庫負担を医療給付の45%に戻す。国保傷病手当金の財政支援の対象を事業主まで広げる。国保料・税のコロナ特例減免は、2019年分との比較で売り上げが30%以上減少している場合まで対象にする。

3、税金の集め方と使い道を正す

 この間、税負担の比重が高所得者から低所得者へ、資本から労働・消費へと移され、格差が拡大してきました。「所得の低い人ほど重い負担」という最も不公平な税制である消費税の税収が、所得税と法人税を抜いてトップになりました。応能負担の原則を壊す異常事態の克服は急務です。また、不要不急の軍事費が増額されるなど、税の使い方も正す必要があります。
①応能負担によって財源を確保する
 大企業や富裕層への優遇税制を正すことで、消費税率5%への引き下げ、課税凍結の財源を生み出し、廃止への展望を開く。
②消費税収を使った病床削減をやめる
 コロナ禍による病床ひっ迫が大問題になる中、病床削減や病院統廃合を行った医療機関に対して消費税収を使って給付金を支給する「病床削減法」を廃止する。同時に、75歳以上の高齢者の病院窓口負担を1割から2割へと倍増する法律の施行を中止する。
③軍事費を削ってコロナ対策に回す
 他国を攻撃する兵器などの調達先は大半がアメリカ政府と大企業となっており、国民が稼ぎ出した富がアメリカと大企業に吸い上げられている。「F35戦闘機105機の購入をやめて持続化給付金を再支給する」「アメリカを守るためのイージスシステム搭載艦を見送って、国保料・税の均等割と平等割を廃止する」「辺野古新基地建設を中止して、コロナ病床の確保や医療機関への支援を拡充する」など、不要不急の軍事費を削ってコロナ対策を拡充する。

4、新自由主義路線を転換する

 新自由主義路線を強行し、大企業・富裕層に巨額の利益と富を蓄積させる一方で、生産性を物差しに中小業を淘汰しようとしています。力の強い大企業や富める者だけに恩恵を与える経済政策の転換は急務です。中小業者を経済の根幹に位置付け、地域経済を守り、中小業者を応援する政治が求められています。
①中小企業淘汰を許さない
 「生産性の低い企業を半分程度に減らすべき」「毎年5%程度の賃上げが望ましく、対応できない企業は淘汰されればいい」といった中小企業淘汰論が政府内でもてはやされている。「新陳代謝を阻害する」として持続化給付金などが打ち切られるなど影響は重大である。小規模企業振興基本法に反する中小企業淘汰政策をやめる。
②循環型地域経済をつくる
 地場産業をはじめ、循環型経済を支える中小業者の仕事確保・顧客拡大と承継への支援を強め、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金の拡充を図る。環境保全や地域防災を担う建設・土木工事への経営支援を強める。コロナ禍によって消費が落ち込んだコメや生鮮三品を、地元商店の手で食料を必要とする住民に届ける支援制度を実施する。
③エネルギー政策を転換する
 原発をなくし、再生可能エネルギーの活用を広げる「原発ゼロ基本法」を制定する。中小業者の「省エネ投資」を支援する。

5、憲法を守り、平和な社会を築く

 秘密保護法、共謀罪、土地利用規制法など、国家が情報を隠ぺいする一方で国民を監視・弾圧する仕組みをつくるなど、戦争する国づくりが進められていることは重大です。安倍・菅政権によって壊されてきた立憲主義、民主主義、平和主義の回復は安心して暮らせる社会への第一歩です。デジタル庁が動き始めましたが、重要なことは、個人の尊厳やプライバシーを守り、対応できない人を排除するのではなく、国民一人ひとりを幸せにすることです。
①改憲を阻止し、立憲主義を回復する
 改憲策動を阻止し、辺野古新基地建設の中止、普天間基地の無条件返還、日米地位協定の抜本的な改正を進める。集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回、安保法制の廃止など、安倍・菅政権によって破壊された立憲主義を回復する。
②プライバシーを侵害するデジタル化を許さない
 国民が、自ら情報をコントロールできる権利を保障し、プライバシーをはじめ個人の尊厳を守る。マイナンバーカードの取得は任意であることを堅持した運営を徹底する。デジタル化に対応できない国民を行政サービスから排除しないようにする。
③「核兵器のない世界」をめざす
 核兵器禁止条約に署名・批准し、「核兵器のない世界」をめざす。
④ジェンダー平等社会を実現する
 ジェンダー平等社会を実現し、多様性や個人の尊厳を尊重する政治を築く。家父長制の名残である所得税法第56条を廃止し、業者婦人の働き分を認める。

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