全国商工新聞

 2012年12月、総選挙での民主党の大敗を受け、自民・公明両党連立による第2次安倍晋三内閣が発足しました。安倍内閣は、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更を強行し、9条改憲など憲法改悪に向けて大きく踏み出しました。民商・全商連はこの10年、「平和でこそ商売繁盛」を旗頭に、市民運動や立憲野党との共同を広げ、憲法を守り、平和と民主主義を守る先頭に立ってきました。

地域から「戦争国家」ノー 市民と野党の共闘進め

戦争法廃案を求める大行動(2015年8月30日)は全国1千カ所で取り組まれ、多くの民商会員も参加。商工新聞もその様子を1面で伝えました
埼玉県婦協は憲法を楽しく学び広げようと、憲法の条文を語り合い、粘土で表現する取り組みに挑戦しました=20年1月

 憲法と平和を守るたたかいは14年7月1日、安倍内閣が臨時閣議で従来の“集団的自衛権は行使できない”とする憲法解釈を180度変えて“行使できる”とする閣議決定をクーデター的に強行したことから本格化。15年にかけて、日本を再び「戦争国家」にする狙いを持った安保法制(戦争法)をめぐるせめぎ合いの中で、反対の声は空前の規模で草の根の広がりを見せました。
 安保法制は、自衛隊法、周辺事態法、船舶検査活動法、国連PKO協力法などの改定を通じて自衛隊の派兵体制を強化し、「存立危機事態」への対処を口実にした戦争協力体制の準備を進めるもので、憲法解釈の変更につながる重大な法整備でした。
 15年9月19日、安保法制は参院での強行採決を経て成立したものの、中小業者や市民、憲法の専門家、政党の枠を超えた政治家など、これまでにない共闘の輪が広がる出発点にもなりました。
 各地の民商や県連でも、粘り強い運動が続きました。「地元国会議員に要請」「反対の立て看板を設置」などの他、「小中高生に手紙を渡してアピール」(静岡・沼津)、「平和への思いを染物に」(兵庫・西宮)、「木製の9条ペンダントを作製」(岐阜・飛騨)といった中小業者ならではの取り組みも目立ちました。
 民商も、党派を超えた要請行動の先頭に立ちます。その結果、北海道、岩手、三重、沖縄の4道県議会や全国各地の市町村議会でも反対決議が上がりました。同年9月にかけては、何波にもわたる10万人規模の国会前集会が開かれ、民商・全商連の仲間も全国から参加。各地でも、創意工夫にあふれたアピールが行われました。強行採決後も戦争法廃止を求める2千万人署名に取り組むなど、「決して諦めない」という決意を示す運動が続きました。
 現在、自民・公明両党など改憲勢力が国会で圧倒的な多数を占める状況が続いています。改憲のためには、衆参両院がそれぞれ3分の2以上の賛成で発議し、国民投票を経る必要があります。国民投票法が07年5月に成立をしたのを受け、衆参両院に憲法審査会が設置されました。
 自民党は、一貫して「改憲」を党是として掲げ、世界に先駆けて戦争放棄・戦力不保持などをうたった憲法9条の精神を骨抜きにするなど、憲法の根本を無力化しようとしています。民商・全商連は、班・支部を主体とした「憲法カフェ」を無数に開くことを呼び掛けています。
 憲法をめぐる話題は、難しくなりがち。それを「楽しんで学び、広げる運動」にしようと、工夫している組織もあります。埼玉県連婦人部協議会(県婦協)は20年1月、「憲法を形に粘土で表現」という催しを開催。参加者を6グループに分け、くじで引いた憲法の条文について語り合い、「粘土を使って表現する」というユニークな取り組みに挑戦しました。人や生き物が手を取り合うことで「戦争の放棄」(9条)を示し、肌や髪の色を変えた人形を並べて「自由及び権利の保持義務」(12条)を表現するなど、憲法を自分のものとして理解することに役立ちました。
 全商連の70年は、憲法とともに歩み、憲法を暮らしと商売に生かす歴史でもあります。安倍内閣を継承した菅義偉内閣も、改憲を狙い、公文書改ざん、国政私物化、独断専行など憲法を踏みにじる姿勢や政治手法を改めませんでした。憲法を守り発展させるためにも、民商・全商連として「地域を舞台に市民と野党の共闘を促進する役割を発揮」(全商連第54回定期総会方針)することが求められています。


 >> 民商・全商連のこの10年(9)民商運動の要 相談活動

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