全国商工新聞

 2021年版の二つの白書が、コロナ禍を乗り切る方策として提示するのは、前回まで見たように「変化に合わせた柔軟な対応」に尽きると言えます。併せて、これまで中小企業庁が強調してきた「九つの戦略」など、周知のトレンドの政策です。さまざまな研究機関等の統計資料やデータも使い、それらが改めて強調されます。そして、感染症流行後に実施された各種支援策により「中小企業の一時的な資金繰りの維持に寄与し、資金繰り判断DIの悪化や倒産件数の増加を抑えた可能性がある」と評価しますが、真価が問われるのは、まさにこれからと言わねばなりません。
 感染症が、売上高や資金繰り面に与えた影響について、従業員規模別に分析し、規模が小さいほど売上高の落ち込みが大きいこと、さらに業種別には宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業で影響が深刻であることや、受注量の変化を業種別に見て、製造業で7割以上、サービス業・その他で5割以上の企業が、受注量が減少していることや、特に「受注量が50%超の減少となった企業はいずれの業種でも1割程度存在している」と述べています(図)。

合理性無い政策が横行

 最も厳しい宿泊業や飲食サービス業も、コロナ禍でおのずとそうなったわけではなく、緊急事態宣言や、その後のまん延防止等重点措置に伴う休業や時短営業の要請など、政府・自治体の政策により引き起こされたものです。
 しかし、それに対応した協力金等の支給や支援の在り方は、必ずしも公平なものでも、合理的なものでありませんでした。行き当たりばったりの、その場しのぎ、小出しが特徴です。
 例えば、緊急事態宣言の発出地域の飲食業には協力金が出ますが、同じく落ち込みの激しい宿泊業には出ず、50%以上落ち込むなどを要件に一律の一時支援金があるのみです。「第4波」の緊急事態宣言で、飲食業等への協力金は、売り上げ規模別(ただし上限あり)に改善されますが、4月以降の一時支援金に当たる月次支援金は定額一律のままです。売上減が50%未満の業者には何の支援もありません。
 一日当たりの売上高を超える協力金を受け取っている事業者がいることも事実です。他方、直接・間接の影響を受け、業種を問わず「50%超の減少」となった企業が「1割程度」存在するにもかかわらず、支援から取り残されています。
 中小企業庁は、一時支援金(月次支援金)の算出根拠を「固定費の半額程度」と説明しますが、協力金と一時支援金の支援の在り方の違いについて、「協力金は都道府県を通じて支払われるので、きめ細かい対応ができるが、中小企業庁には、そのような対応ができる体制がない」としか述べていません。協力金についても事業者からは「売上高の4割では固定費さえ賄えない」と悲鳴が上がります。
 コロナ危機の長期化は、政府の対応の見通しの甘さと戦略の失敗(収束もしていない昨年7月から「Go To」事業を開始する等々)にあったことは否定できません。
 事態が長期化する中、資金が底を突き、廃業や倒産が次々と発生するのは必至です。

「整理・淘汰」ではなく

 「ウィズ・コロナ」「ポスト・コロナ」への、消費者の意識・行動の変化に着目しながら対応していかざるを得ないとしても、コロナ危機が中小・小規模事業者を整理・淘汰したり、格差を拡大させる要因にならないよう公正な支援が求められます。
 「売上高1000万円以下に約4割の中小企業が存在している」「規模が小さいほど売上高の落ち込みが大きい」と述べるのであれば、影響を大きく受けている小規模企業に手厚く支援を講じるべきです。

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